バーレーン・インターナショナル・サーキットを周回するメルセデスのルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセル、2024年2月29日F1バーレーンGP FP1
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

メルセデス「衝撃」1-2発進の背後にあるレッドブルとのパワーギャップ、課題と好材料

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メルセデスによる1-2フィニッシュは2024年のF1開幕バーレーンGP初日のパドックに驚きと興奮をもたらしたが、それは1分30秒374というこの日のベンチマークを刻んだルイス・ハミルトンにとっても「衝撃」だった。

大本命と目されるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がコンマ5秒遅れの6番手に留まった初日セッションを経て7度のF1王者は「セッションを重ねるにつれて少しずつ良くなってきたとは言え、この位置にいるのは僕らにとって衝撃だ。でも今は甘んじて受け取っておくよ」と振り返った。

パドックを歩くルイス・ハミルトン(メルセデス)、2024年2月21日(水) F1プレシーズンテスト(バーレーン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

パドックを歩くルイス・ハミルトン(メルセデス)、2024年2月21日(水) F1プレシーズンテスト(バーレーン・インターナショナル・サーキット)

ただその一方で「先走る事はできない」「僕らのロングランペースはレッドブルの足元にも及ばないと思う」と述べ、レースでレッドブルと張り合うためにはやるべきことがあると指摘した。

2番手につけた僚友ジョージ・ラッセルも「予選ペースは本当に力強かった。どうしてあれだけ良かったのか理解しなきゃならない」としたうえで、「ロングランで言えば結局のところはマックスが上だった」と認めた。

シルバーアローに関しては実際、木曜のデータからはレッドブルはおろか、フェラーリに対してもロングランで遅れを取っている状況だった。更にフェラーリのフレデリック・バスール代表は、改善によってレッドブルに迫れるロングランを刻めるはずだと自信を示している。

1ラップペースに関してはタイムシートに表れているように有望な印象を与えるが、フェルスタッペンはメルセデスがFP2で自分達よりも高出力のエンジンモードを使っていた可能性に触れた。

バーレーン・インターナショナル・サーキット(BIC)では10馬力の差が約コンマ3秒に相当する。実際、シルバーアローはレッドブルよりアグレッシブなモードで運用していたようだ。

独「AMuS」によるとメルセデスのトト・ウォルフ代表は、レッドブルよりも若干パワーが高いモードを使用していたと認めた。データ上では、フェルナンド・アロンソが3番手につけた同じメルセデス製PUを使うアストンマーチンも同じように高出力のマッピングを使っていたものと思われる。

とは言えW15は低速コーナーで優れたパフォーマンスを見せ、先代よりも遥かに良い感触をドライバーにもたらしている。2024年の愛機についてハミルトンは過去2年のグランドエフェクトカーよりも「遥かに気に入っている」と語る。

「シートポジションがようやく後ろに下がった事で、コーナーに対するアプローチで良い感触を得られるようになった。他にも修正・改善された部分があるし、兎に角、レーシングカーらしくなったんだ。前の2台のクルマについてはそう感じられなかった」

エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンも「すでに過去2年のシーズンとはまったく違う感触を得ている」として前向きな姿勢を示し、テストを経て「最も懸念していた」シングルラップで改善が確認された事に安堵した様子を見せた。

例えレッドブルが真のポテンシャルを隠すためにペースを抑えていたとしても、メルセデスが現行レギュレーションの過去2シーズンの初戦時より遥かに良い状態にあるのは間違いなく、予選と決勝でのパフォーマンスが注目される。


3回目のフリー走行は日本時間3月1日(土)21時30分から、公式予選は同25時から1時間に渡ってバーレーン・インターナショナル・サーキット(BIC)で開催される。セッションの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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