決勝レースに向けてグリッド上でレースエンジニアのマッティア・スピーニと話をする角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年10月22日(日) F1アメリカGP(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1アメリカGP:角田裕毅、ハードの第2スティントが誰よりも短かったのは何故?

  • Published: Updated:

ハードタイヤを使った角田裕毅(アルファタウリ)の第2スティントは、10月22日(日)に行われたF1第19戦アメリカGPの中でランド・ノリス(マクラーレン)と並び誰よりも短かった。

本大会でのハードの最長ラップはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が記録した33周だが、角田裕毅は僅か17周でミディアムタイヤに履き替えた。当時の前走車、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)とのギャップは6.5秒と、アンダーカットが効くレンジになかった。

2023年10月22日にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われたF1アメリカGPでの各ドライバーのタイヤ戦略Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年10月22日にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われたF1アメリカGPでの各ドライバーのタイヤ戦略

かなり早いタイミングでの交換の理由についてチーム代表を務めるフランツ・トストは、角田裕毅がバランスの悪さに苦戦していたからだと説明する。

この日のレースとタイヤ戦略についてトストは「ユーキは2ストップ、ダニエルは1ストップと、2台で戦略を分け、両方のスタートタイヤをミディアムとした」と振り返った。

「ユーキは1周目に周冠宇にポジションを奪われたが、2周目にこれを取り戻して、その後は常にトップ10付近を走り続けた」

「彼にはスピードがあったため我々は第1スティントを引っ張り、17周目にピットに呼んで新しいハードコンパウンドに交換した。だが彼がアンダーステアを訴え少し苦戦していたため、あまり長くコースに留めず、新しいミディアムタイヤを履かせた」

「これは同時に、アロンソを後方に留めておくためのものであったが上手くいった」

ハードタイヤを履いていた第2スティント終盤に向けて角田裕毅はフェルナンド・アロンソの追撃を受けていた。2度のF1王者は1周辺りコンマ5秒近いペースで角田裕毅に迫っていた。

トストは「ピットストップを経てユーキは彼(アロンソ)の前でコースに戻ったが、アストンの2台は速すぎた。結果、アロンソとストロールの両方にオーバーテイクされ、ユーキは11番手に後退したが、その後、アロンソがリタイヤした事で10番手に戻った」と続ける。

「アルボンに対して20秒ほどのリードがあったため、チームは彼に新品ソフトを履かせることにした。そして彼はファステストラップを刻み、チームに2点をもたらした。ここ数戦は運がなく、全くポイントを稼げていなかったため、これは大きい」

角田裕毅の22号車AT04をグリッドに運ぶスクーデリア・アルファタウリ、2023年10月21日(土) F1アメリカGP(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)Courtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅の22号車AT04をグリッドに運ぶスクーデリア・アルファタウリ、2023年10月21日(土) F1アメリカGP(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)

アルファタウリは局所的なダウンフォースの改善を目的として今回、フロアボディ、フロアエッジ、フェンスを含むアップグレードを持ち込み、これに加えて冷却性能を引き上げるために新型エンジンカバーと改良型リアブレーキ・ダクトを投入した。

新たな開発パーツについてチームの指揮官は「上手く機能しているようだ。空力部門が素晴らしい仕事をしてくれた。新しいフロアはパフォーマンスを引き上げた。チームの誰もがよくやってくれた」と評価した。

「この調子でシーズン最終戦まで続けていければと願っている。トリプルヘッダーの初戦での2ポイントは本当に大きい。何故か、これはチーム全体に、次のレースに向けた更なる後押しとモチベーションを与えるからだ」

一時はまたもノーポイントに終わるかと思われたが、アロンソがリタイヤしたことに加えて、シャルル・ルクレール(フェラーリ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が失格となった事で角田裕毅は今季最大の5ポイントを手にした。

テクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンは「慌ただしいレースとなったが、ポイント獲得という目的を達成したし、テーブルに残っているものはあまりないので満足している」と述べ、角田裕毅のレースを振り返った。

「ユーキは最初のスティントでタイヤを上手く使いながら、ガスリーに大きく離されることなく本当に素晴らしい走りを見せてくれた」

「ハードコンパウンドでの第2スティントは少し厳しかったが、それでもタイヤを上手くマネジメントしていた。そして2回目のピットストップでミディアムに戻した後は、アストンマーチンとやり合うために全力を尽くす事になった。あの段階での彼らは我々よりも速かった」

「一旦、アルボンに対してギャップを築くと、ピットウォールの判断でファステストラップを狙うことにした。これは追加ポイントを獲得するためで、本当に良い判断だった」

「全体的に見て、我々のクルマはオースティンでかなり上手く機能していた。その結果、ポイント争いに加わる事ができた。だた今後のレースでこれを活かしていくためには、一つ一つの週末を堅実に過ごし続ける必要がある。まだまだ課題は多い」

「今回のイベントは3連戦の最初のレースだ。来週末のメキシコGPに向けて着実に学ぶために、これから詳細な分析に励むつもりだ」


2023年F1第19戦アメリカGP決勝レースでは、6番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季15勝目を飾った。2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位表彰台にはランド・ノリス(マクラーレン)が滑り込んだ。

エルマノス・ロドリゲス・サーキットを舞台とする次戦メキシコシティGPは10月27日のフリー走行1で幕を開ける。

F1アメリカGP特集