マクラーレン、アメリカGPより”リサイクル版”F1マシン…先進のrCFを初採用
マクラーレンは10月20~22日にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われる2023年のF1アメリカGPで、ランド・ノリスとオスカー・ピアトリが駆るMCL60に最先端のリサイクル・カーボンファイバー(rCF)を試験採用する。
英国ウォーキングのチームは、2030年までに”完全循環型”のF1マシンを開発するという目標を掲げており、持続可能な炭素繊維技術の確立を目指す「V Carbon」と共同開発した技術による「rCF」を初めて実践投入する。
マクラーレンによると、この再生炭素繊維の使用によりライフサイクルにおけるCO2排出量を90%削減することが可能となる。これは材料1トンあたり二酸化炭素27トンに相当する。
仮に2022年に全世界で製造された炭素繊維の1%がrCFであった場合、同年のマクラーレン・レーシングの総排出量の半分に相当する32,535トンの炭素排出量を削減できるという。
マクラーレンは先端素材の使用におけるF1の先駆的チームとして知られる。1981年にはF1チームとして初めてカーボンファイバーのみで製造されたモノコックを採用し、最近では2020年に従来のカーボンファイバーの代替となるバイオベースの亜麻ファイバーを導入。ノリスのシートに採用し続けている。
rCFについてマクラーレンF1の最高執行責任者(COO)を務めるピアーズ・ティンは「応用という点で本当にエキサイティングな可能性を秘めている。Vカーボンは、カーボンファイバー本来の強度の85%を達成しており、F1だけでなく、それ以外のさまざまな用途においても十分な強度を発揮する。FIA、F1、そして他のチームと密接に協力し、変化を加速させるために支援していくつもりだ」と語った。
マクラーレン・レーシングのサステナビリティ担当ディレクターを務めるキム・ウィルソンは、「今年のアメリカGPにおいて、主要部品にリサイクル・カーボンファイバーを使用したF1マシンのコース上でのパフォーマンスを分析することは、車体製造における温室効果ガス排出量削減に向けた重要なステップだ。Vカーボンの新技術は、F1における他の多くの先駆的開発と同様、他の産業にも広く応用できる可能性を秘めている」と強調した。
アメリカGPでの試験採用が成功した場合、マクラーレンは2023年の残りのシーズンでもMCL60の部材にrCFを使用し、持続可能性とパフォーマンスについて評価していく計画で、長期的に採用の割合を拡大していくとしている。