鈴鹿サーキットの表彰台の上で優勝トロフィーを掲げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2023年9月24日(日) F1日本GP
Courtesy Of Red Bull Content Pool

衝撃の70%ダウン…ソーシャルメディア分析が示すF1人気低下、要因はレッドブルとフェルスタッペンの一強支配との調査報告

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F1は2016年から2022年にかけてソーシャルメディア上で最も急速に成長したスポーツだが、レッドブルとマックス・フェルスタッペンが支配的な競争力を誇る2023年シーズンになってソーシャルメディア上での言及数、新規フォロワー数、リーチが激減している事が明らかになった。

ソーシャルメディア分析事業を営む英国の「Buzz Radar」の調査によると、2023年1~5月のソーシャルメディア上におけるF1に関する言及数は前年同期と比較して70.20%、新規フォロワー数は46.29%、そしてリーチは64.10%減少した。

メンション 新フォロワー ソーシャルリーチ
2021 3.19M
↑ UP 74.32%
624.27K
↑ UP 250.18%
35.63B
↑ UP 74.83%
2022 6.14M
↑ UP 92.48%
911.15K
↑ UP 45.95%
61.73B
↑ UP 73.25%
2023 1.83M
↓ DOWN 70.20%
489.37K
↓ DOWN 46.29%
22.16B
↓ DOWN 64.10%

これは同社が2013年以来、収集してきた7,000万件を超えるF1に関するあらゆる投稿を元に、AI(人工知能)と専門家による分析を経て描き出されたソーシャルメディアにおけるF1の現在の姿だ。

単に主要指標が低下しているだけではない。

2023年の動向について同社は「以前に見られた着実な成長とは対照的」であるとした上で、F1に関する会話の種類が「根本的に変化」したと指摘した。「ネガティブな形容詞の使用が顕著に増加」しているのだという。

機械学習モデルを使った分析を通して「『退屈』や『うっとうしい』といった言葉が、かつての『興味深い』や『刺激的な』などのかつてのポジティブな言葉に取って代わられ、頻繁に使われるようになってきている」事が判明した。

その要因についてレポートは「マックス・フェルスタッペンとレッドブルの優位性にある。ファンはレースの結果が予測可能でつまらないと感じている」と指摘し、「F1がこのまま一人のドライバーとチームによって支配され続ければ、リバティ・メディア時代に新たに獲得したオーディエンスの多くを失うことになる、という事をデータは示している」と付け加えた。

また、人気を示す各指標の低下傾向が表れたのは今年ではなく2022年半ばの事だったとも指摘し、F1人気が現在、下降線を辿っているのは間違いないと強調した。

Buzz Radarのレポートは、2021年に約1400万人のフォロワーを新たに獲得するなど「主要スポーツのソーシャルチャンネルの中で最も急速に成長」したF1が、頭打ちの現状に直面している事を浮かび上がらせるものと言える。

ソーシャルメディアにおけるF1のプレゼンスが高まったのは、40年近くに渡ってF1の商業権を牛耳ってきたバーニー・エクレストン体制の終焉がきっかけだった。

2017年にF1を買収したリバティ・メディアはソーシャル・コンテンツ戦略に投資を行い、チームとドライバーのオンライン・コンテンツ規制を緩和した。かつて、年配のファンを中心とした特殊なスポーツに過ぎなかったF1は、何百万人もの新たな若いファンを魅了するスペクタクルへと急激に変化した。F1のフォロワー数はわずか5年間で1,250 万人から5,000万人へと3倍に増加した。

F1がある種のピークに達した可能性は否定できないが、ポジティブな会話の割合は2016年の19%から2023年の46%へと2倍以上に増加しているとして「熱心なファンは依然として熱心に F1 について語っている」とも調査結果は指摘している。F1の課題は2017年以降に加わった「カジュアルなファン」を呼び戻す事にあるようだ。