メルセデスF1のテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソン、2021年
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ジェームズ・アリソン、メルセデスF1最前線に復帰!エリオットに代わりテクニカルディレクターに

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不振に喘ぐメルセデスは2023年シーズンの開幕3戦を終えてジェームズ・アリソンをテクニカル・ディレクター(TD)の職務に戻し、F1プロジェクトの最前線に復帰させた。現TDのマイク・エリオットはアリソンに代わって最高技術責任者(CTO)に就任する。

この人事交代はエリオットの持つ資質がTDよりCTOに向いているとのエリオット自身の判断を経て実施された。

2021年7月1日よりメルセデスF1のテクニカル・ディレクターに就任するマイク・エリオットCourtesy Of Daimler AG

2021年7月1日よりメルセデスF1のテクニカル・ディレクターに就任するマイク・エリオット

英「Autosport」によるとチーム代表を務めるトト・ウォルフは「我々は役割を交代させた。マイクは優れた科学的志向の持ち主であるためCTOの職務に移る。ジェームズ・アリソンはマイクの直属としてTDのポジションに復帰した」と語った。

「マイクは、物事に対するアプローチと自身のスキルセットは組織を発展させるという点において最も役に立つとの結論に達した。技術的能力から人的能力に至るまで、今後数年間に渡って成功を収めていくための組織を作り上げていくという点においてだ」

「彼は自身のスイートスポットがそこにある事を非常によく理解している。紛れもなく非常に有能なエンジニアだし、組織の中で信頼され、そして尊敬されている。彼は最上級メンバー達のためのコーチ、スパーリング・パートナーを務める事になる」

「私はマイク自らがこの役割に就くことを決断した事、そして彼とジェームズの両方がこの結論に達した事を本当に嬉しく思っている。我々は二人の天才に恵まれた」

フェラーリ黄金期を支えた立役者の一人、アリソンは2017年にTDとしてメルセデスに移籍。チャンピオンシップ連覇を導くと、2021年7月を以てF1プロジェクトの最前線から退き、以降はCTOとして、アメリカズ・カップを戦うINEOSブリタニアを含むF1以外のプロジェクトに多くの時間を割くようになった。

アリソンが現場を離れた翌年、グランドエフェクトカー導入の新時代がスタートするとメルセデスはV6ハイブリッド時代初の敗北を喫し、レッドブルが9年ぶりのコンストラクターズ王者に輝いた。

それでもエリオット率いるシルバーアローの技術部門は”ゼロポッド”と呼ばれる先代の空力コンセプトに固執。優勝争い復帰に向けて2023年シーズンに臨んだものの、レッドブルはおろか、カスタマーチームのアストンマーチンの後塵を拝する事態に至り、ウォルフは車体コンセプトの策定において「誤った決断を下した」と認めた。

この人事決定がチームの公式発表としてでなく、特定の報道機関とのインタビューの中で明らかにされた点は異例と言える。

なお、アリソンとエリオットの交代人事に加えて、チーフデザイナーを務めるジョン・オーウェンの職務範囲も見直された。予算上限の管理に時間を取られ、本職に割く時間が減少していた事を受けての措置のようだ。