2番手締めで”最悪”を覆してみせたアロンソ、ドルゴビッチの”スタンバイ”で懸念されるストロールの開幕戦出走
アストンマーチンは信頼性トラブルに見舞われる厳しい出だしを強いられたものの、フェルナンド・アロンソが最速マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に1000分の29秒と迫る2番手を記録。印象的な形でF1プレシーズンテスト初日を締め括った。
ランス・ストロールが自転車事故により手首を負傷した事から、2月23日午前のセッションはF2王者にしてリザーブドライバーのフェリペ・ドルゴビッチが「AMR23」での作業を担当した。
ところが、走行開始からわずか10分足らずのところでECU関連のセンサートラブルに見舞われストップ。この日唯一の赤旗が出される最悪のスタートを切った。
更には午後を担当したアロンソがセッション序盤、損傷したフロアの修復のためにガレージに閉じ込められ、1日を通しての周回数はチーム合計100周と、10チーム中9番目に少なかった。
走行時間を失った事についてパフォーマンス・ディレクターのトム・マッカローは「来週のレースに向けて次の2日間で失った時間を取り戻し、最大限の学びが得られるようにしなければならない」と兜の緒を締めた。
フェルスタッペンより遥かに好条件下での計測であったとは言え、それでもアロンソが最終的にタイムシートの2番手につけた事はチームのモチベーションを高める上でも意義深い。
アロンソの計測ラップはどの時間帯よりも予選シミュレーションに適した夕暮れ時だった。ただ同時に、そのドライビングは誰よりも激しく攻めているようにも見えた。
燃料をできるだけ減らし、高出力モードでラップした可能性も否定はできないが、1日を振り返ったアロンソは「幾つか些細なトラブルがあったけど、チームとして合計100周を走り込めたし、初日としては力強いスタートだし満足だよ」と前向きな言葉を口にした。
「まだ色々な事を実験している最中だから1周、1周が重要だ。走るたびにクルマについて新しいことを学んでいる」
「こういった最初の一歩はいつだって興味をそそられるものだし、今のところ、これまで進めてきた準備に満足してる」
「今日集めたデータと学んだ事を活かして明日はさらに最適化していくつもりだ」
トラブルにより一度は頭を抱えながらも、AMR23での初走行を終えたフェリペ・ドルゴビッチは「本当に楽しかった」と満足そうだ。
「最初はクルマに慣れる事を優先して周回を重ねたけど、すぐにスピードに乗って良いリズムを以て走れたように思う」
「些細な電気系統のトラブルはあったけど、計画を終わらせる事ができたし、チームのために貴重なデータを収集できた」
「新車という事で空力テストにかなりの時間を割いたけど、セッションの終盤にプッシュラップも走れたし、本当に楽しい時間を過ごすことができた」
「最後にランスの一刻も回復を祈るとともに、このような機会を与えてくれたチームに感謝したい」
気になるのは残りのテストプログラムを誰が担当するのかという点だ。
初日を終えてアストンマーチンは、アロンソが24日(金)の終日に渡ってステアリングを握る事を明らかにした。ただ最終3日目に関しては今も明言しておらず、ドルゴビッチが「必要に応じてスタンバイ」するという。
この決定からは、両手首を骨折したとの噂もあるストロールの回復状況があまり芳しくないという可能性が読み取れる。
ドルゴビッチを残りのテストで走らせる価値があるとすれば、それはストロールが開幕バーレーンGPに間に合わず、ドルゴビッチが代役を務めるシナリオにおいて、だと言える。
仮にテストに間に合わないとしてもストロールのバーレーンGP出走が確実ならば、マシン開発とフィードバックのためにアロンソに全てを任せた方が懸命だ。
テスト2日目の24日(金)も午前と午後の2回に分けてセッションが行われる。テストの模様はDAZNとフジテレビNEXTが完全ライブ配信・生中継する。