F1時代の悪夢…ヘルムート・マルコは「トラウマ」発言を釈明する元レッドブルのアルグエルスアリ
F1ドライバー時代にレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコから受けた扱いが今もトラウマになっているとの自身の発言について、ハイメ・アルグエルスアリが釈明した。
未だに悪夢にうなされる
2006年にジュニアドライバーとしてレッドブルと契約し、2009年から2011年にかけてトロロッソ(現アルファタウリ)で46戦を戦った32歳のスペイン人はEl Confidencialとのインタビューの中で「今でも夢を見るんだ」と述べ、未だに悪夢にうなされる事があると説明した。
「何よりも期待に応えられないことに対する無力感やフラストレーション、ミスター・マルコが僕をしかり続けている姿の夢を見るんだ」とアルグエルスアリは語った。
「これがトラウマでね。ブエミ(チームメイトだったセバスチャン・ブエミ)を含めて他にもたくさんの人が同じ様な経験しただろうと思う」
「僕はこれを克服できず、セラピーを受けた。引退して新しい人生を歩み出し始めた際には何人かの心理学者の手を借りた」
「時々、泣きながら目覚めるようなこともあった。素晴らしいラップを走った時にミスター・マルコの顔を見ると怒ってるんだ。こんなことが15歳の時から…」
幾ら感謝してもし切れない
これらの発言について、引退後にDJとして活躍しているアルグエルスアリはSNSを通して「ヘルムートは僕の師」であり「15歳の時に彼に出会えた事に深く感謝している」などと釈明した。
「レッドブルとヘルムート・マルコには幾ら感謝してもし切れない。彼らは僕に規律、献身、そして死物狂いで努力することを教えてくれた」
「それは今でも人生における目標を達成する上で助けになっているし、音楽面においてもそうだ」
「もしレッドブルに加わっていなければ今日の僕は存在し得なかったと100%確信している」
「F1であれサッカーであれ、ラグビーであれゴルフであれ、最高峰の舞台でより高いパフォーマンスを発揮するためには強靭な精神力が求められる」
「例え優勝したとしても、レッドブルは更に高く、もっと高く、と要求し続けたことだろう」
解雇決定の背後に取締役会
2009年当時、19歳125日の史上最年少記録と共にデビューしたアルグエルスアリは、期待とは裏腹に僅か3年でF1でのキャリアを終える事となった。
ダニエル・リカルドとジャン=エリック・ベルニュを後任に据えるとの最終決定の責任は立場上、マルコにあるわけだが、アルグエルスアリは自らの「師」を責めてはいない。
「セプサ(スペインの多国籍石油・ガス会社)のイベントがあった翌日の朝8時にフランツ・トスト(トロロッソ代表)から電話があって『レッドブルはこれ以上、支援できない。悪いニュースがある』って言われてね」
「それで僕はヘルムート・マルコに直接電話をかけた。『冗談でしょ?』ってね。そうしたら『私には何もできなかった』って返事が返ってきたんだ」
「もう何年も前の話だけど、あの一件で僕は、レッドブルにおいて決定を下すのは一人の人間ではなく、その背後に様々な利害を持つ”取締役会”という存在がある事を理解した」
「兎に角、会話の内容から、あの決断がマルコによるものでなかった事は明らかだった」
「彼と話をしたのはあれが最後だ。BBCでコメンテーターを務めていた時にパドックで挨拶したことはあるけど、それ以外には何もない」