2022年第106回インディ500:マーカス・エリクソンが初制覇!佐藤琢磨、勝ちにこだわるも3冠お預け
2022年第106回インディアナポリス500マイルレース、通称インディ500の決勝がアメリカ・インディアナ州現地5月29日(金)に行われ、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)が自身初の500優勝を飾った。シリーズとしては通算3勝目。
F1での活躍を経てインディカー・シリーズに転向したスウェーデン出身の31歳は、残り18周でマクラーレンSPの2台を交わして事実上のトップに浮上してラスト11周でラップリーダーに踊り出たものの、残り5周でチップ・ガナッシのチームメイト、ジミー・ジョンソンのクラッシュにより赤旗が提示される試練に見舞われた。
築き上げた大量のリードはリセットされ、レースは残り2周でリスタート。ターン1を死守したエリクソンは後方にトウを与えぬようアグレッシブにクルマを左右に振り、ファイナルラップで発生したセージ・カラム(ドレイヤー&レインボールド)の事故に伴うイエローの下、自身初の500トップチェッカーを受けた。
"I can't believe it. I'm so happy."
A jubilant @Ericsson_Marcus basks in his #Indy500 victory.#INDYCAR // @CGRTeams pic.twitter.com/Eo3u2S6YJ6
— NTT INDYCAR SERIES (@IndyCar) May 29, 2022
3度目の戴冠を目指した佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング with RWR)は一時は6番手、終始10番手付近を走行するもトップを争う程のスピードはなく、終盤に起死回生を狙った燃費作戦に打って出た。だが頼みの綱のイエローが出る前にピットインを余儀なくされ、最終的に1ラップダウンの25位に終わった。
Pos. | Start | Driver | Gap |
---|---|---|---|
1 | 5 | マーカス・エリクソン Chip Ganassi |
–.—- |
2 | 7 | パトリシオ・オワード McLaren SP |
1.7929 |
3 | 6 | トニー・カナーン Chip Ganassi |
3.5173 |
4 | 8 | フェリックス・ローゼンクビスト McLaren SP |
4.1267 |
5 | 20 | アレキサンダー・ロッシ Andretti |
4.9804 |
6 | 18 | コナー・デイリー Ed Carpenter |
5.0799 |
7 | 27 | エリオ・カストロネベス Meyer Shank |
6.5614 |
8 | 16 | シモン・パジェノー Meyer Shank |
7.0937 |
9 | 2 | アレックス・パロウ Chip Ganassi |
8.2446 |
10 | 15 | サンティノ・フェルッチ RLL Racing |
9.8329 |
11 | 30 | ファン・パブロ・モントーヤ McLaren SP |
10.7647 |
12 | 17 | JR.ヒルデブランド A.J. Foyt |
11.6554 |
13 | 14 | ジョセフ・ニューガーデン Team Penske |
11.8276 |
14 | 21 | グレアム・レイホール RLL Racing |
12.4253 |
15 | 11 | ウィル・パワー Team Penske |
13.3036 |
16 | 13 | デイビット・マルカス Dale Coyne with HMD |
13.6283 |
17 | 28 | カイル・カークウッド A.J. Foyt |
14.5864 |
18 | 31 | クリスチャン・ルンガー RLL Racing |
16.3308 |
19 | 4 | エド・カーペンター Ed Carpenter |
16.5602 |
20 | 24 | デブリン・デフランチェスコ Andretti Steinbrenner Autosport |
16.8218 |
21 | 1 | スコット・ディクソン Chip Ganassi |
18.1238 |
22 | 23 | マルコ・アンドレッティ Andretti |
25.2002 |
23 | 22 | セージ・カラム Dreyer & Reinbold Racing |
1 lap |
24 | 32 | ジャック・ハーヴィー RLL Racing |
1 lap |
25 | 10 | 佐藤琢磨 Dale Coyne Racing with RWR |
1 lap |
26 | 33 | ステファン・ウィルソン DragonSpeed |
2 lap |
27 | 29 | ダルトン・ケレット A.J. Foyt |
2 lap |
28 | 12 | ジミー・ジョンソン Chip Ganassi |
7 lap |
29 | 26 | スコット・マクラフリン Team Penske |
50 lap |
30 | 25 | コルトン・ハータ Andretti w/ Curb-Agajanian |
71 lap |
31 | 9 | ロマン・グロージャン Andretti |
95 lap |
32 | 19 | カラム・アイロット Juncos Hollinger Racing |
132 lap |
33 | 3 | リーナス・ヴィーケイ Ed Carpenter |
162 lap |
2位はパトリシオ・オワード(マクラーレンSP)。エリクソンには1.7829秒届かなかった。その後方にはトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)、フェリックス・ローゼンクビスト(マクラーレンSP)、アレキサンダー・ロッシ(アンドレッティ)の順に続く結果となった。
ポールシッターのスコット・ディクソンは200周のうちの95周でラップをリードしたものの、最後のピットストップの際にピットレーンで速度違反を犯してドライブスルー・ペナルティを受け、優勝争いから脱落した。
同じ日に行われたもう一つの世界三大レース、F1モナコGPが雨に見舞われ波乱の展開となった一方、インディアナポリス・モーター・スピードウェイは雲ひとつない晴天に恵まれた。
500マイル、804.672kmに渡るレースは6回に渡ってコーションが出された。いずれも単独クラッシュによるもので、その内の5回はターン2での事故だった。
まずは全車が1回目のピットストップを終えた直後の39周目、2番手を走行していたリーナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター)がクラッシュ。1回目のフルコースイエローが出された。46周目にリスタートを迎えると、佐藤琢磨はターン1で大外刈りを決めて一気に6番手にまで浮上した。
2回目は69周目。カラム・アイロット(フンコス・ホリンジャー)が単独クラッシュした。アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)はちょうどこのタイミングでピットへと向かったが、レーンが閉鎖されたため素通りする他なく、上位を争っていたものの13番手までポジションを落とした。
3回目は106周目。インディ500初参戦のロマン・グロージャン(アンドレッティ)がターン2の壁に激突した。ピットオープンと同時に各車、雪崩を打ってピットに向かった。
残り49周目にはスコット・マクラフリン(チーム・ペンスキー)が制御を失いターン3のバリアに激突。弾き返されたマシンは路面を滑走し、ターン4で再びバリアに衝突した。2度のインパクトがあったものの、マクラフリンに深刻な怪我はなかった。
最終盤にはジョンソンとカラムが立て続けにターン2に突っ込み、エリクソンに試練を与えた。