F1ラスベガス…乱立する新興市街地戦、苦言を呈するフェルスタッペンと控えめな角田裕毅
現行レギュレーションは1シーズンに開催可能なF1グランプリの数を最大24に制限している。ラスベガスGPのような新興のレースが加わるという事は、ヨーロッパを中心とした伝統ある歴史的なコースがカレンダーから姿を消すという事を意味する。
F1は先月、2023年からのラスベガスGPの開催を正式発表した。カジノホテルを中心とした綺羅びやかな町並みを背景に、来年11月にアメリカ国内3番目のグランプリとして特設市街地コースでナイトレースが開催される。
キミ・ライコネンがF1ワールドチャンピオンを獲得した2007年当時のカレンダーに並ぶ市街地コースはモナコGPの舞台、モンテカルロのみであったが、昨年初開催を迎えたサウジアラビアを含めて、あれから僅か15年の間にその数は6箇所に増えた。
ラスベガスとの契約に伴い2023年は7箇所に及ぶ可能性がある。3戦に1回は市街地戦という計算だ。更に言えばアメリカ国内で開催される3回の内の2回はストリートサーキットで行われる。常設コースはサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)のみだ。
2021年のF1ワールドチャンピオン、マックス・フェルスタッペンは新興の市街地戦が乱立する状況を快く思っていない。ラスベガスのカレンダー入りは必然的に、伝統ある欧州のグランプリが脱落する事を意味する。
フェルスタッペンはオーストラリアGPの金曜会見の中で「僕としては兎に角、ストリートサーキットだけじゃなくて、きちんとしたサーキットがある事がすごく重要だと思ってる。F1はそのことをよく理解していると思うけどさ」と苦言を呈した。
「アメリカにおけるF1人気を高めるために、アメリカ国内でのレースを増やす必要があるって事は当然理解できるし、もちろん、そこに行けて嬉しいんだけど、その一方で、走るのが楽しい歴史あるサーキットをカレンダーに残しておく事も重要だと思うんだ」
「名前は挙げないけど(伝統的な常設コースの中にも)そんなにエキサイティングじゃないサーキットがあるのは確かだから、(新興コースとの)適切なバランスを見つけることが必要だろうね」
隣に座っていたランド・ノリスは「マックスは上手くまとめたと思う」と述べ、フェルスタッペンの意見に全面的に同意した。
「ドライバー足る者はやっぱり、オールドスクールなコースや、何年も前からある歴史的なコースを愛してると思うんだよね。ただ前に進むことも大事だし、これからのファンを含めた新しい状況に適応していくことも重要なんだと思う」
「アメリカ国内で3回に渡ってレースが行われる事に関しては良いことだと思っているけど、マックスが言ったように、慣れ親しんだ歴史ある常設コースを相応に維持することが重要なんじゃないかな。なんでもかんでもストリートサーキットって事じゃなくてね」
なお同席していた角田裕毅は「良い事だと思いますが、よく分かりません。それに答えられるほど頭は良くないですし。アメリカのような国は良いと思います。大きいですしね」と控えめに答え、ルイス・ハミルトンは「ユーキに同感だ」と付け加えた。
専らの対策としては隔年開催が挙げられる。シーズン毎に開催地をローテーションするアイデアだ。
カルロス・サインツは「マイアミやベガスに行くのは大歓迎だけど、それによってヨーロッパのクラシックレースがなくなってしまうのは大きな損失だ」と述べ、隔年開催を支持した。
「将来的には、毎シーズンに渡ってカレンダーに載ることができないレースが、2年に1度、あるいは3年に1度でも開催できるような妥協案を見つかればなあって思ってる」
「当然これは商売であって、リバティメディア(F1のオーナー)やF1はビジネスのために何をすべきかを検討するだろうけど、僕はヨーロッパのレースが無くなるのは嫌だね。レースをするに素晴らしい場所だと思うし、僕らの伝統が培われてきた場所でもあるから」
「例え毎年でないにしても、戻ってこられる余地をカレンダーに残しておくべきだと思う」