アストンマーチンの2021年F1公式セーフティーカー「ヴァンテージ」とメディカルカー「DBX」 (8)
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

フェルスタッペンのF1セーフティカー批判に反論するFIA国際自連

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マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がアストンマーチン製のF1セーフティーカー(SC)を「亀」と例えて批判した事を受け国際自動車連盟(FIA)は、求められているのは安全であり最高速度は二の次だとして擁護した。

F1にはメルセデスAMG GTブラック・シリーズとアストンマーチン・ヴァンテージの2種類のSCが供給されており、共にベテランSCドライバーのベルント・マイランダーがステアリングを握っているが、両者にはパフォーマンス面で明確な違いがある。

AMG史上最強の4リッターV8ツインターボを搭載するメルセデスSCは最大出力730馬力を誇るだけでなく、空力を考慮してセーフティカーシグナルがウィンドスクリーンとリアスポイラーに組み込まれている。対してアストン製は従来のようにシグナルがルーフ上に設置され、同じ4リッターV8ながらも535馬力と非力だ。

第3戦オーストラリアGPでは2度に渡ってアストン製SCが導入された。フェルスタッペンはこれを「亀」のように遅いと批判して「調査が必要」と訴え、「アストンマーチンは本当に遅い」と強調した。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)も「正直に言って、毎回遅すぎるって感じてる」と同意。ジョージ・ラッセル(メルセデス)も「真面目な話、メルセデスAMGはアストンマーチンのセーフティカーより5秒も速いんだから、相当なもんだよ」と指摘した。

ドライバーからの批判と指摘に対してFIAは「セーフティカーに求められている最たるものは当然、スピードではなく、ドライバー、マーシャル、オフィシャルの安全であることを改めて強調したい」との声明を発表した。

「セーフティカーというものは幾つかの目的を考慮して導入されるもので、事故現場の復旧やコース上に飛散した破片の安全な処理、復旧活動の進捗に応じたペース調整など、フィールドを”束ねる”事にある」

「セーフティカーの速度はクルマの性能によってではなく、レースコントロールによって決定される。セーフティカーは世界トップクラスのメーカー2社が用意した特注の高性能車で、刻々と変化する路面状況に対応できるよう装備されており、経験豊富で有能なドライバーとコドライバーがドライブする」

「セーフティカーの速度が後続のF1マシンのパフォーマンスに与える影響は二の次であり、その影響はすべての競技者に等しく、自分のクルマとサーキットの状況に応じて常に安全運転を行う責任がある」

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