VWのF1参戦を歓迎する角田裕毅とフェルスタッペン、マクラーレンは提携候補と認めるノリス
ポルシェとアウディのF1参戦計画についてフォルクスワーゲン・グループ(VW)が最終評価段階にあると認めた事を受け、アルファタウリの角田裕毅やレッドブルのマックス・フェルスタッペンを含むF1ドライバー達が歓迎する意向を明らかにした。
F1第3戦オーストラリアGPに先立ち、VWの監査役会はアウディとポルシェのF1参戦にゴーサインを出した。F1との間で正式な契約が交わされたわけではないため、大どんでん返しの可能性はゼロではないものの、2026年以降のF1パワーユニット規定の確定を待ち、これを最終評価した上で正式な契約が交わされる見通しが高まっている。
このニュースを受けメルセデスのルイス・ハミルトンは「ずっと前から知ってたよ。僕らは彼らを歓迎する」と語った。
マクラーレンのランド・ノリスに至っては、VWの提携候補について「それは僕らとレッドブルの事だろうね」と認めた。ただその一方で「僕が言える事は何もないから、チームやアンドレアス(チーム代表)に聞いて欲しい」と語った。
アウディはF1を含むレース部門のみならず、マクラーレン・グループ全体の買収を目指して提示金額を引き上げたものの、交渉は決裂したとの見方があり、代わってウィリアムズとザウバー(アルファロメオ)、そしてアストンマーチンが代替候補として急浮上している。
伝えられるところによると、独自エンジンの製造に興味を示しているローレンス・ストロール会長はアウディに対して提携の可能性を打診した。その背景には、ブリックスワースのメルセデスHPPの株式取得交渉が思い通りに進まず決裂したとためだと取り沙汰されている。
ノリスの発言を受け、ポルシェとの提携が予想されるレッドブルのマックス・フェルスタッペンは「凄くエキサイティングな話だし、F1にとっても凄く大きな意味のある事だと思う」と述べ、こちらも歓迎する意向を明らかにした。
「もちろん、F1には既に10個の素晴らしいチームがあるけど、その背後にこれだけのビッグネームがつくなら本当に素晴らしい話だし、今後、どうなっていくのか楽しみだよ」
レッドブルは英国ミルトンキーンズの本拠敷地内に「レッドブル・パワートレインズ」としての新たなファクトリーを建設しており、遅くとも5月中にはこれを始動させ、2026年以降のPU開発を本格化させる予定だ。
チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、VWグループと「話し合いの場を持つのは当然」であり、その結果としてレッドブル・パワートレインズとして進めている計画変更が必要になったとしても調整するのは「非常に容易い」としている。
レッドブルとの提携はVW、ポルシェにとって理想的だ。
新規参戦の場合とは対照的に、財政的な負担は低減され、技術面でも広く協力し合う事ができる。また、ポルシェとレッドブルの間にエクソンモービルという共通のパートナーがいる事も利点の一つだ。
アウディとは異なりパワーユニット開発に関心がないとされるポルシェは、レッドブルの燃料・オイルのパートナーであるエクソンモービルと共に、バイオ燃料並びにeフューエルの開発を目指してチリに新工場を建設している。
VWの参戦について、レッドブル・パワートレインズに技術供与する形でF1との関係を続けているホンダからの支援を受ける角田裕毅は「良い事だと思いますし、このような大企業が参入してくるというのはワクワクします」と語った。
両ブランドの参戦は新規ではなく、既存チームとの提携あるいは買収という形となる事が予想されるが、アルファロメオのバルテリ・ボッタスは参戦チームの数自体が増える事を望んでいる。
「素晴らしいニュースだと思うよ。今は10チームだけだから、もっと多くのチームが参加すれば良いのにって僕は思ってるしね。子供の頃にF1を見ていた時は、グリッドがどんどん増えていったし、そうなればもっとエキサイティングになると思うから大歓迎だよ」