ボッタス、ハミルトンとの5年を経てロズベルグの引退決断に共感「今なら彼の気持ちが理解できる」
昨年末を以てメルセデスを去り、今季より周冠宇をチームメイトにアルファロメオからF1世界選手権に参戦するバルテリ・ボッタスは、タイトルを獲りながらも電撃引退したニコ・ロズベルグの気持ちが今なら理解できると明かした。
1982年のF1ワールドチャンピオン、ケケを父に持つニコは2013年のメルセデス時代、引退したミハエル・シューマッハの後任としてチームに加わったルイス・ハミルトンとタッグを組んだ。
カート時代からのライバルは手強く、ロズベルグは以降毎シーズンに渡ってチームメイトに破れ続けたが、2016年に遂に5点差でハミルトンを退け、悲願のF1ワールドチャンピオンの座を手にした。
ただ最終戦から数日を経て、その年限りでの現役引退を発表した。曰く、メルセデスからの1億ドルもの巨額のオファーを蹴っての引退だった。
予定外にシートが空いた事で白羽の矢が立ったのがボッタスだった。ケケと同じフィンランド出身のボッタスはウィリアムズからメルセデスへと移籍。5シーズンを戦ったが、一度もハミルトンに勝てないまま昨季末を以てチームを去った。
Marcaによるとボッタスはポッドキャスト「Suoraa puhetta minusta」の中で、メルセデス移籍当時はロズベルグが引退を決意した理由が理解できなかったものの、ハミルトンとの5年間を経た今は、その気持ちが理解できると語った。
「ルイス(ハミルトン)とニコ(ロズベルグ)が激しく争っていたのを覚えている。ちょっとした政治的な問題に発展した事もあったよね」
「僕がメルセデスに加わった時は、どうしてニコが突然辞めてしまったのか不思議に思った。でも今は彼に共感できる」
「僕の経験から言えるのは、それは簡単な事じゃないって事だ。喉にナイフが刺さっているような感覚に陥ると、精神的に上手くいかなくなってしまう」
ボッタスは重圧から逃れるための一つの方法として、好んでサウナに入っていたと続ける。
「サウナは僕にとって神聖な場所なんだ。たまにアルコールのお世話になることもある。プレッシャーから解放されるためというよりは、心を整理して次の週末のレースに向けてリラックスするためにね」
「上手くいく時もあるし、そうじゃない時もあるけど」
ジョージ・ラッセルのメルセデス昇格に伴い新たな道を探る事となったボッタスは、移籍先候補として上がっていた古巣ウィリアムズではなくアルファロメオを選んだ。何故か?
ボッタスは「ある時以降、銀行残高を見る必要がなくなった」と述べ、今や年俸の過多が移籍の判断基準になる事はないと否定した。
「僕はF1での10年目を迎えようとしている。より多くの責任を持って(チームに)変化をもたらす事ができれば嬉しい」
「アルファに移って以降、僕は今までよりもたくさん笑うようになった。ホントだよ。あらゆる面での幸福度が上がったんだ」
2021年シーズンのチャンピオンシップは最終戦の最終ラップでマックス・フェルスタッペン(Red Bull Honda)がハミルトンをオーバーテイク。劇的な結末を迎えた。
ボッタスはハミルトンがチャンピオンを獲った場合にチームから「数百万ドル」のボーナスが貰える契約になっていたと認めた上で、チームがそのボーナスの代わりに、2017年の第4戦ロシアGPでF1初優勝を飾ったマシン「F1 W08 EQ Power+」を贈ってくれたと明かした。
ボッタスは「今は置く場所がないんだけどね」と付け加えた。