インターミディエイトタイヤを履いてピットからコースへと向かうメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年9月25日F1ロシアGP予選にて
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メルセデスがポールを逃したのはハミルトンのピット事故が原因? 壁ヒットはタイトル争いの重圧から?

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ウェットからドライへと移りゆく難コンディションの中で行われたF1ロシアGP予選。タイムシート上部にメルセデスの名はなかった。ポールを獲得したのはランド・ノリス(マクラーレン)で、最前列2番手にはカルロス・サインツ(フェラーリ)が並んだ。

Q3の1セット目のインターミディエイトでの走行を終えて暫定ポールにつけていたのはルイス・ハミルトンであったが、スリックタイヤへと交換するためにピットへと向かった際に壁にぶつかりフロントウイングを破損した。

これにより余計な時間を費やす事になり、ピットからコースへと向かった時には既に、時計の針は2分50秒を切っていた。結局、タイヤに熱を入れる事が出来ないままにラップをスタートさせ、今度はコース上でスピンを喫してリアをバリアにぶつけた。結果、4番手に甘んじた。

ハミルトンはピットでのミスについて「もちろん恥ずかしいし自分に失望しているけど、こういうクソみたいな事も(時には)起こるものだし、誰だってミスをする。とは言え、世界チャンピオンがやる事じゃないよね」と反省の弁を口にする一方、ミスは「プレッシャーが原因じゃない」と述べ、マックス・フェルスタッペンとのタイトル争いから来る重圧とは関係ないと主張した。

Q1でトップタイム、Q2で2番手を記録しながらも、Q3ではチームメイトと同じくスリックで自己ベストを刻めなかったバルテリ・ボッタスは予選を終えて、ウイング交換のためにハミルトンがピットボックスを塞いでいたためにピット上で不必要な時間をロスし、その結果としてスリックで2周を走れず、タイヤを十分にウォームアップできなかった可能性があるとの考えを示した。

メルセデスのバルテリ・ボッタス、2021年9月25日F1ロシアGPにてCourtesy Of Daimler AG

メルセデスのバルテリ・ボッタス、2021年9月25日F1ロシアGPにて

ハミルトンのクラッシュがシルバーアロー2台の熱入れの機会を奪い、それがポールポジションを逃す事に繋がったのだろうか? メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフはそのシナリオを否定する。

「我々がミスをしたわけでも、ドライバー達が原因を作ったわけでもない」とトト・ウォルフ。

「我々はこのセッションで最初にコースに出ていったチームだった。故に我々の選択肢はインターミディエイトでの最後の2回のランを中止してソフトで2回走るか、安全を期してラップを終えるかのどちらかだった」

「結局のところ、ルイスの壁への”キス”がなかったとしても、2周の計測を行う事は出来なかっただろう」

トト・ウォルフの主張は正しいのだろうか? 参考までにポールポジションを獲得したノリスのQ3ラップを振り返ってみる。

スリックに履き替えた直後のアウトラップは2分32秒892、翌周が1分52秒804、そしてその翌周にポールタイムの1分41秒993を記録している。なおボッタスのアウトラップはノリスよりも遥かに遅い3分4秒194だった。

つまり2周の計測ラップを行うためにはチェッカーフラッグの4分25秒前までにピットを出る必要があったという参考値が浮かび上がったわけだが、ハミルトンがピットの壁に接触したのは残り4分のタイミングで、ボッタスがピットに入って来たのはそれよりも後だった。

こう考えるとハミルトンのクラッシュがポールを逃した原因とは言い難い。クラッシュしていようがいなかろうが、トト・ウォルフが言うように2人とも2ラップを終える事は出来なかっただろう。

「明日はこの流れを好転させなければならない。時にこうした逆境は起こり得るものだが、重要なのはどう対処するかだ」とトト・ウォルフは語る。

「ルイスはまだ勝利を狙っている。それがターゲットだ。また、今週末を通してずっと力強いペースを刻んでいるバルテリも7番手からアタックを仕掛けられるはずだ」

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