アルファロメオの111周年を祝うスペシャルリバリーのC41、2021年6月24日F1シュタイアーマルクGPにて
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

アルファロメオ、ザウバーとの複数年契約でF1参戦継続も長期残留は不透明

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アルファロメオはF1第10戦イギリスGPの開幕を直前に控えた7月14日(水)、ザウバー・モータースポーツとの複数年契約延長を発表した。だが長期に渡ってF1グリッドに留まるかどうかは不透明だ。

両者は昨年の第13戦エミリア・ロマーニャGPを前に1年限りでの契約更新を発表。2021年末限りで満了を迎える事からアルファロメオがF1に残留するかどうかは不透明な状況であったが、少なくとも2022年の参戦が確定した。

ただしこの複数年契約は「1年毎の評価性」となっており、2023年以降もこの契約が継続されるか否かは各シーズンのパフォーマンス及び、電動化を巡る市販車市場の動向に左右される事になるようだ。

アルファロメオは2019年のタイトルスポンサー就任に先立って2018年にスイス・ヒンウィルのチームと提携。徐々にグリッド後方から中団へと接近してきているものの、4年連続でコンストラクターズ選手権8位を目標とするなど上位争いには全く絡めていない状況が続いている。

キミ・ライコネンとアントニオ・ジョビナッツィのラインナップを継続した今シーズンも9戦を終えて僅か2ポイントと冴えず、イタリアの熱き血潮が生んだ情熱的ブランドがザウバーに対してより良い成績を求めている事は疑いない。

契約の詳細は明らかにされていないが、アルファロメオは今回の契約で「毎年段階的に改善するための野心的な目標」を設定したとしており、ジュリアGTAやGTAmの開発など自動車関連の協同プロジェクトを含めて、今後もザウバーと共にコース内外の両方で成功を収めていきたいとしている。

チーム代表のフレデリック・ヴァスールは「アルファロメオは素晴らしいパートナーであり、これからの展開に大いに期待している。新しい規制は我々に新たな一歩を踏み出すチャンスを与えてくれているし、共に大きな成果を上げることができると確信しており、常に上位を目指して歩んでいきたい」と述べ、新時代に向けた挑戦への意気込みを示した。

F1は今、大変革期を迎えている。2022年に導入される刷新された技術レギュレーションに先立ち、今年は史上初めてバジェットキャップ環境を整えられた。予算が限られるアルファロメオとザウバーにとって躍進の大きなチャンスとなるが、どうなるかは蓋を開けてみない事には分からない。

アルファロメオはF1について「先駆的なハイブリッド戦略、持続可能な技術、果てしない効率性の追求など、電化への道を歩むアルファロメオにとって重要な領域」だとしており、ザウバーとの技術提携によって培われるノウハウは「市販車や特別プロジェクトに継続的に移行して開発を進める上で、素晴らしい財産となっている」と強調するが、市場の変化は更に加速している。

アルファロメオを擁するステランティスは先日の電動化戦略発表に際して、同ブランドを「2024年からアルファロメオはアルファeロメオ」と表現し、グループ全体として300億ユーロを超える予算を投じて電動化とソフトウェア開発を進めていく計画を示した。

F1は電動化比率を増やしていくとしているものの、依然としてICE(内燃エンジン)をパワートレインの主軸とする方針は揺らいでおらず、事実上の単年契約の背景にはこうした様々な事情があるものとみられる。

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