メルセデス、F1イギリスGPでアップグレード投入も及び腰…レッドブル・ホンダ優位は覆せない?
2021年型W12へのこれ以上のアップグレードはないとしていたメルセデスのトト・ウォルフ代表だが、シルバーストン・サーキットで開催される次戦イギリスGPにアップグレードを持ち込む予定である事を認めた。
絶え間ない改善を続けるレッドブル・ホンダに対抗するために何らかのマシン改良が必要だと訴えたルイス・ハミルトンに対し、ウォルフは先週末のシュタイアーマルクGPを終えて、来季用のシャシー開発を優先する事が合理的であるとして、今後W12へのアップグレードを行わない旨を明かした。
だが最高技術責任者を務めるジェームズ・アリソンはその後、2022年に焦点を当てた研究開発に主眼を置いている事を認めながらも、プロジェクトの切り替え以前に進めていた開発パーツがパイプラインに残っているとして、近々空力アップグレードが持ち込まれる事になると説明。結局、レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表の予想が的中する形となった。
ウォルフはオーストリアGPの金曜プラクティスを終えてSky Sportsとのインタビューに応じ、2週間後のシルバーストン・サーキットでの週末に新たな開発パーツを持ち込む予定である事を明かした。
ウォルフは、ファクトリーの風洞は既に来季型マシンの開発に割り当てられており、W12の開発が行われる事はないとした上で、大掛かりなものではないものの「シルバーストンでは別のパーツがマシンに搭載される予定だ。それはかなり前の段階から準備されていたものだ」と説明した。
ハミルトンは自身のホームレースでこれまでに7回の優勝を果たしているが、メルセデスは先週末のシュタイアーマルクGPでレッドブルに4連敗を喫している。ウォルフはアップグレードを投じたとしても、現在の状況を覆して過去のシルバーストンで誇ったような高い競争力を発揮できるかどうかは分からないと及び腰だ。
「シルバーストンは伝統的に我々との相性が良いコースであったが、今年の新しいレギュレーションによってフロアが大きく削られてしまったため、相関関係を図る事は非常に難しい。前向きな気持ちで『シルバーストンは我々のコースだ』とは言えなくなってしまった」
「本来であれば、我々のマシンはここ(レッドブル・リンク)よりも(シルバーストンで)上手く機能するはずなのだが…」
メルセデスは4戦連続での未勝利に終止符を打つべく、レッドブル・リンクでの第2レースの初日プラクティスでハミルトンがトップタイム、バルテリ・ボッタスが2番手と力強いスタートを切ったものの、2人は共に予選と決勝で同じような結果を得られるのかという点に関して懐疑的だ。