ホンダF1、勝利を逃した”悔しさ”と戦っていけるという”手応え”「感謝の言葉を贈りたい」と田辺TD
開幕ウィナーへの期待が寄せられていたレッドブル・ホンダであったが、チームとしての総合力、そして円熟を迎えたルイス・ハミルトンの巧みなレース運びの前に、ポールシッターのマックス・フェルスタッペンは2位表彰台に甘んじる結果となった。
2番グリッドからスタートしたハミルトンは、1回目のピットストップの際にアンダーカットを成功させてトップに立つと、レースを通して激しくフェルスタッペンとやり合い、0.745秒という僅かの差でこれを退けトップチェッカーを受けた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
F1バーレーンGP決勝で2位フィニッシュしてパルクフェルメにマシンを停めるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年3月28日
フェルスタッペンはレース最終盤にハミルトンを抜き去り首位を奪還したが、コース外でのオーバーテイクと見なされ、レースディレクターからポジションを戻すよう指示があった事で、チームはこれに従った。
リザルトとしては悔やまれる部分もあるものの、今回のフェルスタッペンのポディウムは、ホンダとして通算200回目の記念的表彰台となった。
もう一台のレッドブルRB16Bをドライブしたセルジオ・ペレスは、CE（コントロール・エレクトロニクス）及びES（バッテリー）を交換のうえ決勝に臨んだが、フォーメーションラップ中にシャットダウンに見舞われコース上で停車した。原因は明らかにされていない。なお前日には、姉妹チームのアルファタウリ、ピエール・ガスリーも同じコンポーネントを交換している。
幸いにもクルマは再始動し、11番グリッドのペレスはピットレーンからレースをスタート。苦境に立たされながらも決して諦めず、見事5位にまで巻き返し、この日のDriver of the Dayに選出された。ペレスはマシンが息を吹き返した事を「奇跡」と表現した。
アルファタウリ・ホンダも決して楽なレースではなかったが、日本のルーキーが魅せてくれた。
5番グリッドのエース、ピエール・ガスリーは序盤にダニエル・リカルドとの接触でマシンにダメージを負い戦線から離脱。ギアボックスに問題が発生した疑いがあるとして、チームは52周目にリタイヤさせた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
F1バーレーンGP決勝レースを走るアルファタウリ・ホンダの角田裕毅、2021年3月28日
F1デビュー戦を迎えた角田裕毅は、慎重になりすぎた事で4周目の時点で16番手にまで後退するも、セバスチャン・ベッテルやフェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンといった歴代ワールドチャンピオンを次々に交わし、ファイナルラップでランス・ストロールを抜き去り9位フィニッシュを飾った。
F1デビュー戦での入賞は日本人ドライバーとしては初の快挙で、日本人F1ドライバーのポイント獲得としては2012年最終ブラジルGPでの小林可夢偉（ザウバー）の9位入賞以来となった。
週末とこの日のレースを振り返ったホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは、勝利を逃した”悔しさ”の一方で、戦っていけるという”手応え”を得たようで、関係者への感謝を口にしながら、次戦以降に向けて更にパワーユニットをブラッシュアップしていくと誓った。
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd
ゲルハルト・ベルガーと話をするホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクター、2021年3月28日F1バーレーンGP
Honda：F1バーレーンGP決勝を終えて
田辺 豊治ホンダF1現場責任者
今日のシーズン開幕戦はレッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手がポールポジションからスタートしたものの、残念ながら勝利を逃してしまい、2位表彰台に終わりました。
ただ、勝利を逃したという悔しい思いの一方で、ポールポジションの獲得に加えてレースで も終始トップ争いを繰り広げるパフォーマンスを見せられたことをポジティブに捉えてい します。
レースでは戦略の違いによりハミルトン選手を追いかける展開となり、最後は1秒差以内まで追い詰めたものの、惜しくも届かず2位となりました。
チームメートのペレス選手は、フォーメーションラップ中の電源シャットダウンによりマシンがコース上でストップしましたが、幸運にも電源が復活し、ピットレーンからスタートすることができました。最後尾からの追い上げにもかかわらず、素晴らしい走りで5位まで順位を上げてフィニッシュしています。今日発生した問題については、車体・PU合わせてこの後解析を行い、再発防止に向けて対応をしていきます。
デビュー戦を迎えたスクーデリア・アルファタウリ・ホンダの角田選手は、幾つものオーバーテイクを見せて9位入賞を果たしました。うまくタイヤをマネージしながら良いレースをしてくれたと思います。
ガスリー選手については序盤の接触が影響し、残念ながら終始後方でのレースになりましたが、アルファタウリの2台は週末を通して速さを見せていましたので、ホームグランプリとなる次戦も良い走りを期待しています。
今週末は両チームともに競争力があることを示してくれました。オフシーズンの間に懸命に開発を進めて新しいPUを送り出してくれたHRD-SakuraとHRD-UKのメンバー、そして素晴らしいマシンを開発してくれたレッドブルとアルファタウリにも感謝の言葉を贈りたいと思います。
今回のレースで集めたデータを入念に解析してPUの最適化に取り組むと同時に、問題点や懸案に対しての対応を進め、次戦に臨みたいと思います。
3月28日(日)にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた2021年F1開幕戦バーレーングランプリ決勝レースでは、2番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン（メルセデス）がポールシッターのマックス・フェルスタッペン（レッドブル・ホンダ）を交わして逆転勝利を挙げた。3位表彰台にはバルテリ・ボッタス（メルセデス）が滑り込んだ。
