レッドブル・ホンダ優位は「公正な見解」とメルセデス…F1開幕までのギャップ解消は困難
メルセデスのチーフ・ストラテジストを務めるジェームス・ヴァウルズは、レッドブル・ホンダが最速のチームとしてシーズン開幕を迎えるであろう事は疑う余地がないとの認識を示し、現在抱えているリアエンドの問題解決には時間が掛かると主張した。
ホンダの最新パワーユニット「RA621H」を搭載するレッドブルRB16Bが高い信頼とパフォーマンスを発揮し、マックス・フェルスタッペンが全体の最速となるラップタイムを残した一方、メルセデスは不安定なリアエンドに頭を抱え続けた。
王者が課題を抱えている事は傍目からも明らかだった。特にテストにおいてミスする事のないルイス・ハミルトンですらテスト期間中に2度もスピンを喫し、そのうちの1回は赤旗の原因となった。
ジェームス・ヴァウルズはテスト翌日「我々のマシンはハンドリングが悪く、逆にレッドブルは我々が言うところの”植え付けられた”状態に仕上がっていた。特に最終セクターでの彼らは本当に安定していた」とテストを振り返った。
苦戦やトラブルを口にしながらも確実に挽回してきたというこれまでの経緯から、メルセデスは「オオカミ少年」と見なされている側面があるが、ジェームス・ヴァウルズはレッドブル・ホンダ優位という見解は”こけおどし”ではないと断じる。
「公正な見解だと思う。この事は外から見ても分かる事で、ラップタイムもそれを反映していた」
ジェームス・ヴァウルズは「現時点で解決策を持ち合わせていないのは事実」であるとして、原因解明のために「長い道のり」が待っていると述べ、23戦の長丁場となる今年はレッドブル・ホンダとの接戦になると予想する。
「パフォーマンスという点ではレッドブルがリードしていると言える。テストでの彼らは傑出していた。ただこれはテストであってレースではない」
「レッドブルという競争相手は獰猛なチームだ。彼らは強力なパッケージを手にした。箱から取り出すや否や非常な速さを示した事は明らかだ」
「シーズンを通して、また様々な種類のコースレイアウトにおいて、我々が彼らと一進一退の攻防を繰り広げるであろう事は確かだ」
「ただし、特にシーズン開幕までに、我々が不足しているパフォーマンスを見出したり、彼らに先行するとは思っていない」
「簡単に言えば、、そうだね、今年のチャンピオンシップは接戦になると思う」
メルセデスがバーレーンでリアに問題を抱えたのは風とタイヤのオーバヒートの影響が大きい。
トラックサイド・エンジリング部門を率いるアンドリュー・ショブリンは「追い風は実質的に対気速度を低下させるため、ダウンフォースが大きく失われる」として「風が物事をトリッキーにした」と説明。次のように続けた。
「バーレーンのサーキットはタイヤがオーバーヒートしやすく、一旦クルマがスライドし始めるとグリップが更に失われ悪化してしまう」
「要は幾つかの問題があったという事だ」
「重要なのは、ライバル達が我々とは異なりこうした状況に手を焼いていないという事が確認できた点にある。我々としてはリアエンドが少し足らない理由と、安定的で予測可能なクルマを作り上げるのに必要なものを理解する事に重点を置く必要がある」
「我々のドライバー達はラップタイムを刻むのにかなり苦労していた。レース本番ではさほど困難とならない事を願っている」
本来であればテスト期間中に問題を解決したいところであったが、貴重な走行時間を失った事が足かせとなった。
初日の半日を失った原因はギアボックストラブルであったが、最終日の午後にも1時間10分を失っている。セッション開始になってもスクリーンを撤去せず、ガレージに籠もり続けていたのは見積もりの甘さが原因だったようだ。
アンドリュー・ショブリンは「基本的にはランチタイムを使って様々な作業に取り組んだ事が原因だ。担当ドライバーの交代に伴い、ペダルなど多くのアイテムを交換する必要があった。これがひとつだ」と説明する。
「これに加えて、フロアを外してパワーユニットのチェックやサービス作業を行っていた。結果的に午後の最初の1時間を失ったと思うが、当初は15分か30分で走れると考えていた。だがご覧のように、16時前にコースに出る事はできなかった」