メルセデスF1、トト・ウォルフ続投とワークス継続を発表もINEOSが主要株主の一角に…3頭支配体制へ
F1世界選手権に参戦するメルセデスAMGペトロナスF1チームは2020年12月18日(金)、トト・ウォルフが少なくとも今後3年に渡って従来どおりチーム代表兼最高経営責任者(CEO)の職務を担い、ワークスチームとしての参戦を継続すると発表した。
ただしその一方でINEOSを主要株主として迎え入れ、支配体制を変更する事を合わせて明らかにした。筆頭株主のダイムラーは60%の持ち株利率を減らし、トト・ウォルフと今季よりタイトルスポンサーを務めるINEOSが各々30%を保有する3頭支配体制へと移行する。
2013年よりメルセデスF1の指揮を取り続けてきたトト・ウォルフは新たな3年契約にサインし、今後もチームに留まり続けるが、チームは「適切な時期と判断した場合、組織内の新しい執行的役割に異動する可能性もある」としている。
メルセデスAMGペトロナスF1チームはメルセデス・ベンツのワークスチームとして2010年にF1に復帰。V6ハイブリッド・ターボが導入された2014年以降は、前人未到の7連続ダブルワールドチャンピオンシップを獲得するなど大きな成功を収めてきた。
にもかかわらず、メルセデスが全株式を売却してF1世界選手権から撤退するとの噂は燻り続け、INEOSが買収するとの憶測も度々流れてきたが、”少なくとも”現時点では当面、ワークス体制を維持してF1に留まる事が確認された。ただしINEOSの株式取得により、チームに対するダイムラー支配力は弱まる事になる。
今季からの5年契約でタイトルスポンサーに就任したINEOSは、ジム・ラトクリフ卿が1998年に創業した英国ロンドンに本社を置く多国籍化学企業で、従業員数は2万2000人、2019年度の収益は日本円にして9兆円にも達する。
会長を務めるジム・ラトクリフ卿はイギリスで最も裕福な人物として知られており、アメリカの経済誌「Forbes」が2020年に報じたところによると、推定総資産額は178億ドル(約1兆8,800億円)で世界第74位の富豪としてランク付けされている。
F1は来季より予算の上限を導入する。まずは1億4500万ドル(約151億5,785万円)からスタートし、2023年までに1億3500万ドル(約140億4,202万円)に引き下げられる。
ダイムラーのオラ・ケレニウス会長は、投資家として名高いINEOSを株主として迎え入れる事が出来たのは、チームの強さと将来性を示すものであるとして「コストキャップの導入と新たな株式構造により、我々は継続的な成功に向けて更に強力なポジションを獲得した」と述べた。
チームは3頭支配体制のアナウンスと合わせて、今後もワークスチームとしてF1への参戦を継続する事並びに、パワーユニットを供給していく意向を明らかにしたが、ミハエル・シューマッハと並ぶ7度のF1ワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトンとの契約についての言及はなかった。