2019年導入のF1最速ラップポイント、レース展開を変え選手権を左右する影響をもたらすか?
シーズンの幕開けを告げるオーストラリアGP開幕直前に、鳴り物入りで導入が決まったファステストラップ・ポイント。従来は決勝レース中に全体のベストタイムを記録しても、実際的な利益のない”ただの栄誉”に過ぎなかったが、2019シーズンからは選手権ポイントに換算される。
シーズン開幕直前のルール変更ということもあり、唐突感は否めないが、この最速ラップポイントがゲーム展開を変え、チャンピオンシップの行方を左右するほどの影響をもたらすのかどうか。メルボルンで開催された公式プレスカンファレンスに出席したドライバーたちの意見を聞いてみた。
「分からない」と慎重な姿勢を見せたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、「面白いとも思うけど、タイトル争いをする立場であれば、自分じゃなくライバルのアドバンテージになる可能性もあるわけだしね。どうなるかは実際に見てみないと何とも言えないな。でも、チームとしては上手く利用したいと思うはずだよ」と語った。
フェルスタッペンと同様に、各グランプリで優勝争いに加わると目されるスクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテルも、現時点では判断するのは難しいとの認識を示した。
「ちょっと分からないな。そんなに大きく変わるとは思ってないけど。実際に変わるかどうかは数レース終わってみてから考えようか」
その一方で、6連覇の偉業達成を目指すメルセデスAMGのルイス・ハミルトンは好意的に捉えている。
「追加で21ポイント増えるわけでしょ?皆がファステストを取りにいこうとするかどうかが興味深いね。多分面白いんじゃないかな」とハミルトンは語り、レースに新たな戦略要素が加わることに期待を寄せた。
ワークス・ルノーへと移籍したダニエル・リカルドは「トップ10ドライバーに制限したのは良かったね。もしファステストラップを記録しようとしてピットに入って新品タイヤに履き替えれば、ポジションを失う可能性があるからさ」と評価した。
ファステストラップポイントの対象となるドライバーはトップ10フィニッシュに制限されており、入賞外の10位以下でチェッカーフラッグを受けたドライバーは、仮にファステストをマークしてもポイントを得る事はできない。
リカルドは「そんなに真剣には考えてないけど。チャンピオンシップの明暗を分ける事はないんじゃないかな。可能性としてはあり得るけど、そうはならないと思う」と付け加えた。
マシン開発が遅れた事で苦戦が予想されるウィリアムズ。グリッド後方を争う状況では、ファステストラップを念頭に置いたストラテジーが意味を成すはずもなく、ロバート・クビサは「僕はさほど気に留めてない」と返答した。
「残念だけど、僕らにとっては大きな影響はないだろうね。少なくとも今のところはね。でも、ボーナスポイントを得るために、レース終盤に何台かのマシンが奇妙なシナリオを持ち出してくる可能性はあるよね。3・4台のマシンが突然ピットインするような状況がね。ドミノ倒しみたいにさ。でも、僕としてはそんなに興味はないかな」
仮にこのルールが適用されていた場合に2000年以降のF1選手権で歴史が変わったのは、ルイス・ハミルトンが初めてチャンピオンに輝いた2008年の一度のみ。非常に限られたシチュエーションとなればスリリングなレース展開を期待できるだろうが、選手権争いを根本からひっくり返す程の変更でない事は確かだと言えそうだ。