新生フォース・インディアに新たな火種が勃発…破産プロセスを巡りウラルカリ社が損害賠償請求
財政難から開放され新しいチャプターを歩み始めたばかりのフォース・インディアに、再び火種が襲いかかった。ロシア・ベレズニキに本拠地を置くウラルカリ社は9月27日、ロンドン王立裁判所に対して、同チームの管財人を担当したFRP Advisory LLPを訴え、損害賠償請求を起こした事を明らかにした。
7月27日の夜、コンストラクター5位につけていた中堅の雄フォース・インディアは、会社精算のために破産管財人の管理下に置かれた。申し立てを受理した裁判所側は、FRP Advisory LLPを破産管財人として任命。最終的に、チームはウィリアムズのランス・ストロールの父、ローレンス率いる投資家グループの救済を受け入れ、”レーシングポイント・フォースインディア”として再生した。
管財人管理下で行われた入札には、ストロール率いるコンソーシアム以外にウラルカリ社が参加。同社はフォース・インディアのテストドライバーを務めるニキータ・マゼピンの父、ドミトリーが取締役会副会長を務めており、塩化カルシウムの輸出等によって年間3000億円の売上を計上するグローバル企業として知られる。
ウラルカリ社の輸出先にはF1カレンダーに名を連ねる国々が数多く含まれており、フォース・インディア買収の裏には、マゼピンのシート確保の他にマーケティングを強化する狙いがあった。同社の主張は大きく以下の3つに集約される。
- 最高額を入札したにも関わらずストロールの入札が選ばれた
- 管財人がとった売却プロセスは不透明
- 管財人は債権者、株主およびその他の利害関係者の利益を損ねた
ウラルカリの社外取締役を務めるポール・ジェームス・オストリングは次のように述べ、管財人を務めたFRP Advisoryのジェフ・ローリーとジェイソン・ベイカーに疑惑の矛先を向けた。
「我々は管財人に対して有意義な投資対効果検討書を提示しており、我々の入札がベストであったと考えている。管理者は我々の入札単価が他を上回っていた事を確認している。なぜ彼らは、債権者及び株主の利益を最大化するチャンスを棒に振ったのか?我々は重大な懸念を抱いている」
ウラルカリ社の主張によれば、同社の入札額は1億150万ポンドから1億2200万ポンド、日本円にしておよそ150億5,800万円から約181億円であったという。