コースインの準備をするトロロッソ・ホンダのクルー達、2018年F1シンガポールGPにて
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トロロッソ・ホンダ、予想外の大苦戦…挽回のカギを握るのは”タイヤ” / F1シンガポールGP《初日》サマリー

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ヨーロッパでの連戦を終えたF1はアジアへと戦いの舞台を移し、9月14日に第15戦シンガポールGPが開幕。舞台となるのは、日没後に決勝がスタートするマリーナベイ市街地コース。市街中心部の公道を使用して仮設されるそのコースは、90度コーナーが連続する低速のハイダウンフォースサーキットだ。

現地午後16時にスタートしたFP1は気温31℃、路面温度45℃の湿度の高い蒸し暑いドライコンディション。レッドブル・トロロッソ・ホンダの2台は、セッションを通してウルトラソフトで走行。マシンのセッティングを進めながら徐々にベストラップを更新し、ピエール・ガスリーが1分43秒240で16番手、ブレンドン・ハートレーが1分43秒485で17番手をマークした。

照明に照らされたマリーナベイ市街地コースを走るトロロッソ・ホンダ
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続く午後20時30分からのFP2ではコース全面が強烈なライトに照らされ、気温30℃、路面温度35℃のドライコンディションでスタートした。2台のマシンは、まずはウルトラソフトでコースイン。ガスリーが42秒937、ハートレーが43秒262と、FP1のベストタイムを更新。セッション中盤にはハイパーソフトに履き替え、予選を想定したアタックシミュレーションを敢行した。

二人のドライバー共に自己ベストを塗り替えハートレーが41秒542で17番手、ガスリーが41秒615で18番手をマーク。その後は同じタイヤでロングランを行い周回を重ねた。最終的にハートレーは全20台中最多となる38周を、一方のガスリーも36周を走行し、車体及びパワーユニット共に、計画していたプログラムを順調に消化した。

昨年のカルロス・サインツの4位入賞を引き合いに出すまでもなく、伝統的にトロロッソが得意とするマリーナベイ市街地コースだが、期待とは裏腹に、トロロッソ・ホンダの2台より遅かったのはウィリアムズのみという厳しい週末のスタートとなった。

ガスリーは「クルマには期待していたような競争力がなく純粋に速さが不足している」と述べ、予選に向けて大幅な改善が必要だと訴え不満を漏らした。ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターもまた、土曜の公式予選に向けて改善すべき部分が多いとコメント。

ただし、トロロッソの主任レースエンジニアを務めるジョナサン・エドルズは、期待外れの結果に落胆するも「解決策の見当はついている」と語り、パフォーマンスの改善に期待感を示した。エドルズ曰く、挽回のカギを握るのは”タイヤの扱い方”だという。

トロロッソ・ホンダ:シンガポールGP初日を終えて

ピエール・ガスリーFP1: 16位, FP2: 18位

僕らにとってはかなり難しい一日になってしまった。パフォーマンスという点では、期待してたほどの競争力はなかったし、マシンバランスに少し手こずってるんだ。純粋に速さがないから、今夜は今日集めたデータを分析して、何が問題で何が悪いのかを見つけ出す必要がある。そうすれば、明日に向けてクルマを改善できると思う。

シンガポールのトラックは本当にヤバイね!特に夜は本当に凄いよ。上手く走るにはリズムが必要なテクニカルなサーキットだし、この暑さだからドライバーにとっては本当にチャレンジングなんだ。それに、雰囲気も素晴らしいしね。本当に楽しかったよ。

ただし、現時点ではマシンの感触がそんなに良くないから、明日に向けてパフォーマンスを改善するために、頑張って仕事に取り組んで、何とかして方法を見つけ出さなきゃね。

ブレンドン・ハートレーFP1: 17位, FP2: 17位

初めてのシンガポールでのドライブは良い経験になったよ。予選ではもっと上のグリッドを目標にしてるから、2台共もっとタイムを上げていかなきゃならないけど、特に大きなマシントラブルもなかったし、僕の方は一度もミスする事なく、かなり順調な一日だった。

コースに出て直ぐにスピードを上げる事が出来てたし、ロングランでのタイヤマネジメントもかなり良好だった。でも、明日の最終プラクティスに向けて、今夜は仕事が山積みって感じだね。

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

今日は一日を通してトラブルフリーでセッションを終えることができました。2台のマシンで異なるセッティングを試した事で、シャシーと空力の観点でも充実した3時間の走行となりました。二人共今回がシンガポールで初めてのレースとなりますので、多くの周回を重ねた事でサーキットへの理解も深まったと思います。

ラップを稼いだ事で有益なデータを大量に収集する事ができましたが、タイムシートから明らかなように、我々には改善すべき部分が多いと考えています。今日行ったショートランとロングランの両方のデータを分析し、明日の予選に向けて、エネルギーマネジメントを含めたパワーユニットのセットアップと車体側の改善に取り組んでいくつもりです。

ジョナサン・エドルズチーフレースエンジニア

シンガポールでの初日セッションはトリッキーなものになってしまった。データ上では我々のマシン特性向きのサーキットだから、競争力を発揮できることを期待して初日に臨んだものの、望んでいたようなリザルトは得られなかった。

うちのドライバーは二人共、ここのコースでの走行経験がなかったから、今日は可能な限りたくさん走り込んでレイアウトに慣れてもらう事を一番の目標にしていたんだ。マリーナベイ市街地コースはF1カレンダーの中でもコーナー数が多いのが特徴で、1周をミスなく完璧にまとめるのが難しいコースだしね。

FP1で空力やメカニカルのテストを行った結果、進んでいくべき明確な答えが見つかったので、FP2ではその方向性でセッティングを詰めていった。今日は、1ラップ目のタイヤからパフォーマンスを引き出すことに一番苦労したよ。特にハイパーソフトは難しかった。

ライバル勢のほとんどはオープニングラップでファステストタイムを記録していたのにも関わらず、我々は1周目に性能を引き出す事が出来なかった。その原因の一つはマシンバランスだと思われるため、これに関しては明日に向けて調整してかなきゃならない。それに、タイヤを作動させることに関して上手くやれていないのも問題だね。

今日の走行から、タイヤに関してはどこに焦点を当てて作業を進めるべきかのアイデアを得られたから、明日のFP3では2セットのハイパーソフトタイヤを使って、その考えが正しいかを確認するつもりだ。今日は競争力を発揮できなかったけど、その試みが上手く行けば一発のタイムも向上するだろうから、今は前向きに考えてる。ここでは予選順位が全てだから、今夜は予選に向けた準備に集中して取り組むつもりだよ。


F1シンガポールGP 3回目のフリー走行は9月15日(土)の午後6時(日本時間午後7時)、公式予選は同午後9時(日本時間午後10時)からマリーナベイ市街地コースで開催される。

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