WECトヨタ:F1で新舗装を経験済のアロンソ「知見をチームの役に立てたい」第3戦シルバーストン6時間《preview》
ル・マンでの初優勝から2か月。トヨタ・ガズー・レーシングは、FIA世界耐久選手権(WEC)の2018/2019スーパーシーズン第3戦での1-2フィニッシュを目標に、モータースポーツの聖地イギリスはシルバーストンに向かう。2012年のWEC復帰以来51戦目のレースに挑むトヨタは、これまでに優勝18回、ポールポジション16回、そして表彰台45回を獲得。シルバーストンでは過去2勝を挙げており、毎年表彰台でのフィニッシュを続けている。
中嶋一貴とセバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソの3名がドライブしル・マン制覇を成し遂げた8号車はレース終え、イギリスで行われたグッドウッド・フェスティバルで展示。その後、トヨタチームの本拠地であるドイツ・ケルン戻り、7月23日に当地を訪れたトヨタ自動車社長の豊田章男の祝福を受けた。
ル・マン優勝という最大の目標を成し遂げたTOYOTA GAZOO Racingの次なる目標は、シルバーストンで再度ポールポジションからの1-2フィニッシュを成し遂げ、昨年から続くWEC連続勝利数を6に伸ばす事。チームは今週末、超高速のシルバーストンに対して今季初となる高ダウンフォース空力仕様のTS050 HYBRIDを投入。トップスピードを抑えめにしてコーナーでの更なるグリップ向上を狙う。
FIAはルマンでのレース結果を基にLMP1クラスのEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー:技術の均等化)を改定。ハイブリッド勢(トヨタ)とノンハイブリッド勢のパフォーマンスギャップを更に縮小すべく、最低重量の軽減や燃料流量の調整を実施。ノンハイブリッド勢はトヨタよりも43.75%多い燃料流量が可能となる。
シルバーストンは今年、MotoGPのプロモーターからの要請を受けて路面を再舗装。バンプの解消が期待されていたが、7月上旬に開催されたF1イギリスGPでは、依然としてコースの一部がかなりバンピーである事が明らかとなった。8号車のアロンソはすでにこの新しい路面を経験しており「知見をチームの役に立てたい」と意気込んでいる。
シルバーストン6時間レースは、8月18日(土)~19日(日)にかけてノーサンプトンシャーに位置する1周5.901kmのシルバーストン・サーキットで開催される。日本語によるテレビ放送はJ SPORTS一択。決勝レースの模様は19日(日)午後8:30から生中継される。スカパーやひかりTVから申し込みができる。
トヨタ:第3戦シルバーストンに向けて
村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表:
短い夏休みの後、今週末に再開するレースが楽しみです。チームの全員がル・マン優勝を喜んだと共に、ファンの皆様、スポンサーの方々から多くの祝福を頂きました。心より感謝いたします。ル・マン優勝の余韻は残りますが、我々は常に次のレースとその目標に向かっています。特にシルバーストンでは、今シーズン初めて高ダウンフォース空力仕様のTS050 HYBRIDを導入するので、周到な準備をして週末のレースに臨みます。ライバルたちも競争力を上げてくるでしょうから、我々も全力を尽くし、表彰台の頂点を目指します。
小林可夢偉(7号車)
シルバーストンは高速で、レースを戦うのが楽しいサーキットなので、今週末を楽しみにしています。我々のTS050 HYBRIDは、第1戦スパ、第2戦ル・マンで示したとおりの速さがあるので、シルバーストンでもチャンスがあると思っています。我々の7号車にとっての今季初勝利を飾るべく、クルー全員で努力を続けています。しかし、最も重要なのは、チーム全体で好結果を得ることで、それを成し遂げる自信はあります。
マイク・コンウェイ(7号車)
レースが待ちきれない。ル・マンの後はしばらく休暇を楽しんだ。僕自身は既に準備万端だ。母国でのレースは他とは少し異なり、友人や家族が見に来てくれる。こういった機会はそんなにないので嬉しい。シルバーストンのファンは素晴らしく雰囲気は最高だ。目標はもちろん1-2フィニッシュの再現。僕ら7号車が優勝できればなお良いね。EoTの再調整があったから、戦いは更に厳しいものになると思うけど、再び強さを発揮出来る事を祈ってる。
ホセ・マリア・ロペス(7号車)
シルバーストンを再訪するのが本当に楽しみだ。昨年とは異なり、今年はTS050 HYBRIDでの走行を経験しているだけに尚更だよ。好結果を望んでいるけど、それがマイクと可夢偉との初優勝であれば理想的だね。僕らは昨シーズンの開幕シルバーストンでいきなりレースをリードするなど、これまで勝利に限りなく近づいているけど、まだ勝てていない。でも、努力を続けていれば必ずチャンスが巡ってくるはずだ。まず、チームのために良い週末にすることを目標にしている。
中嶋一貴(8号車)
ル・マンでの勝利の後、信じられないような数週間を過ごしました。多くの祝福やメッセージを頂き、本当に感謝しています。まだ気持ちは高揚していますが、照準を切り替え、シルバーストンで強力なパフォーマンスを披露できるよう集中します。再舗装によってサーキットの特性がどのように変わったのかもとても楽しみです。このレースから高ダウンフォース空力仕様を使うことになるので、練習走行から慌ただしいセッションが続くものと考えています。
セバスチャン・ブエミ(8号車)
長い休暇がようやく終わる。一貴、フェルナンドと共にレースをするのが待ち切れない。シルバーストンにはハードブレーキングが多くないため、ハイブリッドカーにとって容易なサーキットとは言えない。それに、EoTの調整もあったから、今週末のレースは挑戦し甲斐あるものになると思う。バトルが楽しみだ。シルバーストンは例年とても寒い4月に行われていたけど、今回は8月のレースということで、気候の面でも楽しみにしている。
フェルナンド・アロンソ(8号車)
何週間かのインターバルを経て、再びTS050 HYBRIDでレースを戦えるのを楽しみにしている。その間も僕はとても忙しく過ごしてきたし、シルバーストンに向けての準備を進めてきたチームも同じようにハードなスケジュールをこなしてきた。ル・マンとは異なり、シルバーストンは僕が良く知っているサーキットの一つだ。既にF1で走って再舗装を経験しているから、その知見がチームの助けになればと思ってる。これまでのところ、僕らは完璧なWECシーズンを過ごして来ているから、今週末もそれを継続していきたい。