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スリップストリーム

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スリップストリーム(英:slipstream)とは、走行中のマシンの真後ろに発生する空気抵抗が小さいエリア、または現象の事を指す。日本では、これを利用して前走車に接近する事を「スリップストリームを使う」「スリップに入る」といったように使う。

スリップストリームに入ると空気抵抗が減少する事で速度が大幅に向上し、結果としてオーバーテイクや追い上げのための強力な武器となる。100分の1秒、1000分の1秒を争う現代のモータースポーツ競技においては、スリップストリームを使わずして前走車を交わすことは難しい。

トウ

英語圏(ヨーロッパ)ではスリップストリームという単語は使われず、”牽引する”の意味を持つ「トウ(英:tow)」が用いられる。日本では「トゥ」「トー」とも表記される。

コーナーでは逆に遅くなる事も

スリップによる速度向上の恩恵は、原則として直線コース・ストレートを走行する場合に限られる。コーナリング時においては、スリップストリームに入る事によって速度が低下する。その理由はダウンフォースにある。

スリップエリアでは前方からの空気量が減るため、空気抵抗と同時にダウンフォースも減少し、マシンコントロールが困難となる。

長くスリップを使いすぎると、エンジンやブレーキ等の冷却(空気による冷却)が十分に行われなくなり、オーバーヒートのリスクが高まる。スリップストリームは上手く利用できれば後続車両にとって追い抜きの源泉となるが、追い抜くべきところで追い抜けないと自身の首を絞めかねない諸刃の剣でもある。

スリップが効く距離

スリップストリームの恩恵を受けるためには、どの程度の距離まで前走車接近すればよいのだろうか?車両の速度や形状、気象条件等によって異なるが、高速のF1においては100m以上の距離があってもスリップが効くようだ。スリップの効果の程度については、前走車との距離によって異なる事が知られている。

スリップストリームを使った予選戦略

1周の純粋な速さを競う予選において、スリップストリームはしばしば有効な戦略として採用される。ロングストレートを持つサーキット、例えばモンツァやバクー市街地コース等においては、チームメイト同士が協力し合い、互いのスリップストリームを相手に利用させることで、ラップタイムの向上を目指す事がある。