ニック・デ・フリース、2015年7月11日にオーストリアのレッドブル・リンクで開催されたヨーロピアン・ル・マン・シリーズ2015にて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

ニック・デ・フリース

  • Updated:

人物データ

名前 ニック・デ・フリース / Nyck de Vries
国籍 オランダ
出身地 フリースラント州ユイトウェリンゲルガ
生年月日 1995年02月06日 / 29歳
身長 168cm
体重 58kg
F1デビュー 2022年
カーナンバー 21
WEBサイト nyckdevries.com
SNS instagram

ニック・デ・フリース(蘭:Hendrik Johannes Nicasius “Nyck” de Vries、ヘンドリック・ヨハネス・ニカーシウス・ニック・デ・フリース)はオランダ出身のレーシングドライバー。FIA-F2選手権とフォーミュラE選手権制覇を経て、2023年に角田裕毅のチームメイトとしてスクーデリア・アルファタウリからF1フルデビューを果たす。

ニック・デ・フリース(アルファタウリ)のプロフィール画像Courtesy Of Red Bull Content Pool

ニック・デ・フリース(アルファタウリ)のプロフィール画像

プライベート

母ナオミ・ヘッセリングと、かつてルノー・クリオでレース活動を行っていた事もある自動車販売会社「デ・フリース・コンペティション」を経営する父ヘンドリック・ヤン・フリースの第一子として生まれた。

趣味はウェイクボードやスキー、走ること。4歳の誕生日に父親からカートを贈られた事がきっかけで、キャリアを歩む事となった。

恋人は同じオランダ出身のエヴァ・ブルッゲンワース(Eva Bruggenwirth)。少なくとも2020年初頭から交際しているようだ。アムステルダムに拠点を置き、ジュエリー、ホームウェア、衣料品コレクションを販売するファッションブランド「Anna and Nina」で働いている。

自己批判的な性格で、アルファタウリのチームメイト、角田裕毅をして「すごく真面目」であり、忌憚なく率直に意見を口にするタイプである。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の自宅へ遊びに行くなど、両者は2022年のコンビ以前から友好な関係にあった。

F1への歩み、異質な経路

数々の勝利を重ねていたカート時代のデ・フリースは誰もが一目置くドライバーであったが、F1への挑戦は27歳まで待たねばならず、そのキャリアは決して平坦ではなかった。

カートでの下積みは8年に及んだ。イタリアに移住し、2010年と2011年にCIK-FIA 世界選手権でチャンピオンに輝いた事で2012年にフォーミュラ・ルノー2.0でシングルシーター・デビューを果たした。2011年はアレックス・アルボンを下しての戴冠だった。

ニック・デ・フリース、ダニール・クビアト、ノーマン・ナト、ハンガリーのモジョロリンクで2012年9月16日に開催されたフォーミュラ・ルノー2.0ユーロカップにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

ニック・デ・フリース、ダニール・クビアト、ノーマン・ナト、ハンガリーのモジョロリンクで2012年9月16日に開催されたフォーミュラ・ルノー2.0ユーロカップにて

2014年にユーロカップ・フォーミュラ・ルノー 2.0とフォーミュラ・ルノー2.0アルプスでタイトルを獲得するも、ARTグランプリから参戦した2016年のGP3では僚友シャルル・ルクレールが王座を手にする一方、ランキング6位と苦戦。それでもマクラーレン・ドライバー・アカデミーの支援を受け2017年にFIA-F2選手権へステップアップした。

2016年7月2日のGP3シリーズ第9戦レッドブル・リンクにて表彰台に上がったARTグランプリのアレックス・アルボン、シャルル・ルクレール、ニック・デ・フリースCourtesy Of Red Bull Content Pool

2016年7月2日のGP3シリーズ第9戦レッドブル・リンクにて表彰台に上がったARTグランプリのアレックス・アルボン、シャルル・ルクレール、ニック・デ・フリース

挫折を跳ね除けてのタイトル獲得

デビューイヤーは7位。翌年はタイトル争いへの期待が高まったがそうはならず、開幕7戦で3度のリタイアを喫し、ミスも重なった事でタイトルへの挑戦は始まる前に頓挫した。カート時代に示したポテンシャルを疑問視する声もあった。

なおこの年は所属先のプレマ・パワー・チームに50万ユーロの支払いが必要となり、父親の知人である不動産億万長者のイェルーン・スコートーストが所有する投資会社「インベストランド」から25万ユーロの融資を受けたが、契約を巡って2023年1月にスコートーストから訴えられる事態となった。

曰く2018年は勝利への執念が大きく、リスクを冒しすぎた事が一貫性の欠如に繋がった。デ・フリースは自らのアプローチを見直し、3年目のシーズンを迎えた2019年、最終一つ前の第11戦ソチまでに12回の表彰台を獲得。ラスト2戦を除いた全レースでポイントを獲得し、念願のチャンピオンを獲得した。有言実行の王座獲得だった。

表彰台に立つ松下信治とルカ・ギオットとニック・デ・ブリース、2019年FIA-F2選手権モンツァ・レース1Courtesy Of FIA FORMULA 2

表彰台に立つ松下信治とルカ・ギオットとニック・デ・ブリース、2019年FIA-F2選手権モンツァ・レース1

これによりメルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチームとの契約のチャンスを得て、2019-20年シーズンのフォーミュラEに参戦。メルセデスのF1テストドライバー契約を手に臨んだ2020-21年シーズンにタイトルを掴み取り、初となるチームチャンピオンの称号をメルセデスに授けた。

メルセデスEQのイアン・ジェームズ(チーム代表)とニック・デ・フリース、ベンチュリーのスージー・ウォルフ(チーム代表)とBMWのジェイク・デニス、2021年8月15日のフォーミュラE選世界手権第15戦ベルリンにてCourtesy Of Formula E

メルセデスEQのイアン・ジェームズ(チーム代表)とニック・デ・フリース、ベンチュリーのスージー・ウォルフ(チーム代表)とBMWのジェイク・デニス、2021年8月15日のフォーミュラE選世界手権第15戦ベルリンにて

転がり込んできたF1のチャンス

F1への道が開けたのは偶然だった。だが、その訪れたチャンスをデ・フリースは両手で掴み取った。

2022年のF1イタリアGP。世界カート選手権時代のライバル、ウィリアムズのアルボンが虫垂炎を発症したため、その代役としてデ・フリースに白羽の矢が立った。

この年、デ・フリースはスペインGPのフリー走行で若手走行枠を得てウィリアムズFW44をドライブしており、同じマシンを駆るレギュラードライバーのニコラス・ラティフィを上回るタイムをマークしていた。

許された練習走行が僅か1時間だったにも関わらず、デ・フリースは予選でラティフィを上回ると決勝では9位でチェッカーを受け2ポイントを持ち帰り、各方面から大きな賞賛を浴びた。

ニック・デ・フリースのF1デビュー戦9位入賞を祝うウィリアムズ、2022年9月11日F1イタリアGPCourtesy Of Williams

ニック・デ・フリースのF1デビュー戦9位入賞を祝うウィリアムズ、2022年9月11日F1イタリアGP

同郷のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の提案でレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコに会うべくオーストリアに飛び、そこで食事を共にして自らを売り込んだ。

アルファタウリのフランツ・トスト代表は嫌がったものの、マルコはピエール・ガスリーのアルピーヌ移籍を容認し、代わりにデ・フリースと契約する決断を下した。

決勝レースを前にニック・デ・フリースと父ヨス・フェルスタッペンと談笑するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年10月2日F1シンガポールGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

決勝レースを前にニック・デ・フリースと父ヨス・フェルスタッペンと談笑するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年10月2日F1シンガポールGP

主なキャリアと成績

シリーズ
チーム
出走 優勝 ポール 表彰台 順位
2004 オープン・ベルギー選手権 10位
2010 CIK-FIA世界選手権—SKF 1位
マクラーレンF1若手育成プログラムに加入(-18年)
2011 CIK-FIA 世界選手権—KF1 1位
2012 ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー 2.0
R-ace GP
14 0 0 2 5位
フォーミュラ・ルノー2.0 NEC
R-ace GP
11 1 1 4 10位
2014 ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー 2.0
コイラネンGP
14 5 6 10 1位
フォーミュラ・ルノー 2.0 アルプス
コイラネンGP
14 9 9 12 1位
2015 フォーミュラ・ルノー3.5シリーズ
DAMS
17 1 1 6 3位
2016 GP3シリーズ
ARTグランプリ
18 2 1 5 6位
2017 FIA-F2選手権
ラパックス/レーシング・エンジニアリング
13 1 0 4 7位
8 0 0 1
2018 FIA-F2選手権
プレマ・セオドア・レーシング
24 3 2 6 4位
2018–19 WEC-LMP2
レーシングチーム・ネザーランド
6 0 0 0 9位
2019 FIA-F2選手権
ARTグランプリ
22 4 5 12 1位
ル・マン 24 時間 – LMP2
レーシングチーム・ネザーランド
1 0 0 0 15位
2019–20 フォーミュラE
メルセデス・ベンツEQフォーミュラEチーム
11 0 0 1 11位
WEC-LMP2
レーシングチーム・ネザーランド
6 1 0 2 10位
2020 ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ
Gドライブ・レーシング
3 1 0 2 5位
メルセデスF1テストドライバー
2020–21 フォーミュラE
メルセデス EQ フォーミュラ E チーム
15 2 1 4 1位
2021 メルセデスF1リザーブ・ドライバー(-22年)
2021–22 フォーミュラE
メルセデスEQフォーミュラEチーム
16 2 1 3 9位
2022 F1
ウィリアムズ・レーシング
1 0 0 0 21位
アストンマーチンF1テストドライバー
アルピーヌF1テストドライバー
アルファタウリから閉幕後テスト参加
2023 F1
アルファタウリ