舞台は北極や砂漠、氷河など…電動SUV戦「エクストリームE」初年度2021年カレンダーを発表
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電動SUVシリーズ「エクストリームE」のシーズン1の開催カレンダーが決定した。2021年に開幕予定の新たなモータースポーツレースは「電動化」「環境」「平等」を標榜し、グリーンランド、セネガル、サウジアラビア、ブラジル、アマゾンそしてパタゴニアでレースを行う。
エクストリームEは2020年10月27日(火)にイギリス・ロンドンでローンチイベントを開催。イギリス、ドイツ、スペイン、アメリカ、アジアなど、ネットを通じて全チームが遠隔地から一堂に会し、CGIアニメーションを使用して各々のマシンのリバリーを公開すると共に、開催初年度のカレンダーが発表された。
開幕は2021年3月のサウジアラビアで開催される「デザートXグランプリ」。その名の通り、砂漠を舞台としたオフロード戦が予定される。5月には「オーシャンXグランプリ」の名のもとに、”バラ色の湖”で知られるセネガルのラック・ローズへと移動する。
サウジアラビア
日本での真夏に当たる8月には、フィヨルドで有名なグリーンランドのカンゲルルススアークで「北極圏Xグランプリ」が開催され、10月にはブラジルのパラーで「アマゾンXグランプリ」が行われる。
グリーンランドのフィヨルド
アマゾンの奥地に立つエクストリームEのアレハンドロ・アガグCEO
5戦で構成されるシーズン1の最終戦は10月。ティエラ・デル・フエゴを舞台として、”氷河”の名を関する「グレイシャーXグランプリ」が開催される。
アルゼンチンとチリにまたがるパタゴニア地域最南端のティエラ・デル・フエゴは、氷河と雪山の景観で世界的に有名だが、自然環境の悪化によって氷の減少や永久凍土の消滅の危機にさらされている。この地域は世界最後のフロンティアの一つとして知られており、南極を挟んで南アメリカの先端に位置する事から「世界の果て」と呼ばれるウシュアイアの町がある。
パタゴニア / © Gonzalo Ríos
2021年エクストリームE開催カレンダー
ラウンド | 日時 | グランプリ | 国 |
---|---|---|---|
1 | 3月20-21日 | デザートXグランプリ | アルウラ(サウジアラビア) |
2 | 5月29-30日 | オーシャンXグランプリ | ラックローズ(セネガル) |
3 | 8月28-29日 | 北極圏Xグランプリ | カンゲルルススアーク(グリーンランド) |
4 | 10月23-24日 | アマゾンXグランプリ | パラー(ブラジル) |
5 | 12月23-24日 | グレイシャーXグランプリ | パタゴニア(アルゼンチン) |
当初の予定ではネパールが開催地に上げられていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で同国へのロジスティクスが複雑になっている事から、来季以降に開催が持ち越される事となった。
エクストリームE 2021年参戦チーム
エクストリームEマシン「ODYSSEY 21」ダカールラリー2020にて / © Xtreme E / MCH Photo
シーズン1には、ニコ・ロズベルグが立ち上げた「ロズベルグ・エクストリーム・レーシング」や、ルイス・ハミルトンが創設した「X44」、エイドリアン・ニューウェイとジャン=エリック・ベルニュが共同設立した「ベローチェ・レーシング」など、以下の9チームが参戦する。
チーム | 国籍 | ドライバー |
---|---|---|
アプト ABT |
ドイツ | マティアス・エクストローム TBC |
アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームE Andretti United Extreme E |
アメリカ | キャシー・ムニングス ティミー・ハンセン |
チップ・ガナッシ・レーシング Chip Ganassi |
アメリカ | サラ・プライス カイル・レデュック |
HWA | ドイツ | TBC |
QEV | スペイン | TBC |
ロズベルグ・エクストリーム・レーシング Rosberg Xtreme Racing |
スペイン | TBC |
チーム・テチータ Team TECHEETAH |
インドネシア | TBC |
ベローチェ・レーシング Veloce Racing |
イギリス | TBC |
X44 | イギリス | TBC |
エクストリームEの車両は「ODYSSEY 21」と名付けられたE-SUVで、スパーク・レーシング・テクノロジー社が製造を担当する。0-100km/hは僅かに4.5秒で、最大130パーセントの勾配(角度換算で約53度)まで走行が可能とされている。搭載するバッテリーは、ウィリアムズF1が昨年末にEMKキャピタルに売却したウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリング社製で、フレームにはニオブ強化スチール合金が用いられ、足元にはコンチネンタルタイヤを履く。
コースが大自然の中にあるため、レースのための運営拠点となるパドックは、数百万ポンドを投じて改修された旧英国王立郵便船セントヘレナ号上に作られる。この”動くパドック”はマシン及びチームメンバーを戦いの舞台へと送り届けるだけでなく、チームの拠点・研究開発ファクトリーとしても利用される。