疑わしき2026年ウィリアムズ・ホンダF1の復活、訝しむヴァウルズ
現時点で2026年のウィリアムズ・ホンダ復活はかなり疑わしい。チーム代表を務めるジェームズ・ヴァウルズは、日本のエンジンメーカーが「真剣勝負をするためにあるべき位置」にいるとは考えていないようだ。
現行の1.6リッターV6ハイブリッド・ターボが導入された2014年以来、ウィリアムズは一貫してメルセデス製パワーユニット(PU)を搭載しており、2022年にはパートナーシップを強化してギアボックスや油圧系の追加供給を受けている。
ただヴァウルズは、次世代PUが導入される2026年に向けてサプライヤーの変更を評価・検討しており、年内に最終決定を下すとしている。
前任のヨースト・カピート体制下では、当時アルピーヌのリザーブ・ドライバーであったオスカー・ピアストリの起用を巡って話し合いがもたれた事もあり、ルノー製PUへの切り替えの可能性が指摘されていたが、64歳のドイツ人マネージャーは昨年末を以て英国グローブのチームを去った。
メルセデス、フェラーリ、アルピーヌ(ルノー)、そして新規参戦のレッドブル・パワートレインズおよびアウディと並び、2026年のサプライヤー登録を済ませているホンダは複数のチームから接触があったと認めており、ウィリアムズはマクラーレン、アストンマーチンと並ぶその中の一つと考える筋もある。
ウィリアムズ・ホンダは1980年代中盤に支配的な強さで2年連続でのコンストラクターズタイトルを獲得した栄光のチームだ。
ホンダ製1.5リッター水冷V6ツインターボを搭載したFW11Bは連戦連勝を重ね、1987年シーズンに16戦でポールポジション12回、優勝9回という圧倒的な力を見せつけた。復活ともなれば往年のF1ファンにとっては嬉しいニュースだ。
だがThe Raceによるとヴァウルズはホンダについて、信頼に足る選択肢なのか、優柔不断であるが故に2026年に向けて必要な準備が整わない可能性があると考えているのか、との質問に対して次のように答え、提携の可能性を除外している事をうかがわせた。
「施設的にどうなのか分からないのでコメントするのは難しい。だが真剣勝負をするためにあるべき位置からは少し離れていると思う」
2026年まで3年を切ってなおホンダは他の5つのメーカーと異なり参戦を明言しておらず、また、レッドブル及びアルファタウリに今もPU一式を供給し続けているとは言え、人材やインフラを含めたリソースは正式参戦時代よりも削減されている。
ヴァウルズは以前にも、ワークス待遇の優位性を認める一方で「今の我々の肩には現実的な目標がかかっている」と述べ、サプライヤーの切り替え以上に専念すべき重要なタスクがあると仄めかしていた。
ヴァウルズが昨年までメルセデスの戦略チーフを務めていた経緯から言っても、ウィリアムズがメルセデスとのパートナーシップを継続する可能性は高い。
ただ、ヴァウルズはメルセデスを「自分が快適な場所」と呼び、単にそれだけの理由で契約を更新するのは「愚か」だとして、あくまでも全ての選択肢を評価した上で最終決定を下すと強調した。
そして「年末では遅いと思う。それより少し前に決定するだろう」と付け加えた。