メルセデスがレッドブル・ホンダに形勢不利のメキシコGP初日を過ごした理由、巻き返しの見通し
11月5日のF1メキシコGP初日はマックス・フェルスタッペンが後続にコンマ4秒以上もの大差をつけ、レッドブル・ホンダがメルセデスを圧倒する結果となった。
もう1台のRB16Bを駆るセルジオ・ペレスは4番手に甘んじたものの、2番手バルテリ・ボッタスとの差は0.146秒、3番手ルイス・ハミルトンとの差は僅か1000分の61秒に過ぎなかった。
2日目に向けて状況を改善できなければ少なくとも予選に関してシルバーアローの敗色は濃厚だろう。何がこれほどの差を生み出したのか?
ハミルトンのオンボード映像は慌ただしいステアリング操作を映し出していた。セットアップに問題があるかに思われたが、曰く「クルマの感触は概ね良好」で「大きな問題」はなく、ハミルトンは単にレッドブルが「速すぎた」だけだと強調した。
ボッタスも「本来あるべき姿から大きく外れてはいない」として、マシンバランスにはまずまず満足だと説明する。
「少なくともシングルラップでのレッドブルは間違いなく速そうに見えた。ソフトタイヤでのペースはかなり手強い。ポールを狙うには、もう少しタイムを見つけ出す必要がある」
ミニセクターのタイムからは、W12がライバルに対してドラックの低さとトラクションを武器にストレートの立ち上がりとその中盤でタイムを稼いでいた事がうかがえる。
対してRB16Bは、うねるように中速コーナーが続くセクター2と、低速コーナーが中心のセクター3で大きなゲインを得ていた。また、ストレートの最後の伸びも印象的だった。
レッドブル・ホンダは空気密度が平地と比べて22%低いメキシコシティにおいて、ターボチャージャーに後押しされたエンジンの絶対的パワーとダウンフォースの両方で優位に立っていた様にみえる。
実際、感触が悪くないにも関わらずフェルスタッペンにコンマ5秒近い差を許した原因についてハミルトンは、ダウンフォース不足を理由に上げている。
「僕らにはダウンフォースが不足している。それが0.5秒の差を生み出しているのかもしれない…今日の彼らは間違いなく速すぎた」
仮にハミルトンが完璧に1周をまとめていたとしてもフェルスタッペンには0.35秒届かなかった。75秒サーキットでのこのギャップは控えめに言っても小さくはないが、仮に予選をこの程度で終えられれば御の字と言えるかもしれない。
メルセデスのトト・ウォルフ代表は2019年の前回大会の予選で、最速を刻んだフェルスタッペンに0.504秒差を付けられた事に触れ「つまりモナコと同じく、ここは我々が最も苦手とするコースなのかもしれない」と語った。
2年前はメルセデスが支配的な強さでシーズンを圧倒し、ダブルタイトル6連覇を果たした年だが、そんな状況にあってもレッドブル・ホンダはメキシコでコンマ5秒もの差を築き上げたのだった。
メルセデスは残りの週末もこのまま大人しく劣勢に甘んじ続けるだろうか?
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、1発の速さに関して「マックスに対して幾らかタイムを見つけ出さなければならないのは明らか」だとする一方、バランスを改善させる事でギャップを縮めていきたいと考えている。
「ライバルとは異なるタイヤで取り組んだためロングランを比較するのは難しいが、バランスは悪くなく、ハードタイヤも上手く機能しているようだ」
「そもそも楽にいくとは思っていない。改善すべき箇所があるのは明らかだが、メキシコでの過去の金曜日と比較すれば、まずまずのスタートを切る事ができた」