鬼才エイドリアン・ニューウェイが4度のF1王者ベッテルを「伝説」と称する理由
4度のF1世界タイトル獲得を経て惜しまれつつも2022年末を以て引退したセバスチャン・ベッテルをエイドリアン・ニューウェイは「伝説」と評した。それは単にコース上でのパフォーマンスが優れていたからだけではない。
激動の22年シーズンを経て、35歳のドイツ人ドライバーについて問われるとニューウェイは開口一番「伝説的な男だ。英語のユーモアに対する彼の理解、そして真似する能力は驚異的だった。英語圏生まれでないとは信じられないほどにね」と語った。
以前、チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「コックニー・スラング(ロンドン訛り)からナイジェル・マンセルまで、本当に幅広いアクセントのモノマネが上手く、彼のジャン・トッドは伝説的だった」とベッテルを形容している。
ベッテルはユーモアとジェントルマンシップだけでなく、徹底した完璧主義者、そしてエンジニアリング面に強い関心を持つドライバーとしても知られている。
「彼は本当に理路整然としていて、自分を厳しく追い込むドライバーだった」とニューウェイは続ける。
「ミスをすれば、どうしてそれがミスだったのか、なぜミスをしたのか、もっと上手くやるためには何をしなければならなかったのかを理解しようと努めていた。同じミスを二度することはめったにない」
「また、我々の理論を検証し、目標を達成するために何をすべきかを探るため、ドライビング・シミュレータに多くの時間を費やしてくれた」
「彼の献身はマシン性能を向上させるというエンジニアリング面においても我々を助けてくれた」
「そのひたむきさはチームにも影響を及ぼしていた。チームがしばしば、もう一踏ん張りする準備を整えていたのは彼の仕事、そしてそのコミットメントを目にしていたからだった」
ベッテルの仕事ぶりについてホーナーは次のエピソードを披露する。
「セバスチャンは信じられないほど一生懸命に、そして献身的に働いてくれた。彼はどんなことにも手を抜かなかった」
「金曜や土曜の終わりには、エンジニアリングオフィスに最後まで残っていることもよくあった」