ドライバーズ世界選手権制覇の記念撮影に臨むレッドブルのヘルムート・マルコ、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー、セルジオ・ペレス、2022年10月9日F1日本GP
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フェルスタッペンは2022年のいつの時点でF1タイトル獲得を確信したのか?

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ルイス・ハミルトン(メルセデス)と競りに競った昨年のタイトル争いとは異なり、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はシーズン前半に早くも2022年のチャンピオン獲得を確信していたようだ。

歴史に残る支配的なシーズン

フェルスタッペンの2冠目は支配的な競争力によってもたらされた。タイトルを決めた鈴鹿でフェルスタッペンは今季12勝目、14回目の表彰台をマークした。これは1シーズンの勝利数としてはキャリア最高。2021年は10勝だった。

トップチェッカーを受けるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年10月9日F1日本GPCourtesy Of Red Bull Content Pool

トップチェッカーを受けるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年10月9日F1日本GP

1シーズン中の歴代最多優勝記録は2004年のミハエル・シューマッハと2013年のセバスチャン・ベッテルが持つ13勝。22戦が並ぶ今シーズンのカレンダーにはあと4戦が控えている。新たなレコードの可能性は高い。それほどまでに今年は一方的なレースが続いた。

シーズンのいつの時点で2冠目を確信したのだろうか? F1日本GPでの選手権制覇を経てフェルスタッペンは、ライバルのシャルル・ルクレール(フェラーリ)がクラッシュを喫した第12戦フランスGPを挙げた。

「勝てるチャンスがあると思った瞬間は幾つかあったけど、やれると思ったのはポール・リカールでの週末の後だったと思う。あれでかなりリードが広がったからね」とフェルスタッペン。

「その後のレースもかなりの接戦になるだろうとは予想していたけど、このギャップは譲れないって感じだった。僕らのマシンにはかなりの競争力があったしね」

ルクレールはスタートからレースをリードしていたものの、3分の1を消化した18周目のターン11でコントロールを失いバリアに衝突。これによりフェルスタッペンのリードは38点から63点にまで拡大した。

結局レッドブルはフランスGP以降の全てのレースを制し、現在7連勝中と破竹の勢いを見せている。

表彰台の上でチャンピオンを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を称えるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2022年10月9日F1日本GP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台の上でチャンピオンを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を称えるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2022年10月9日F1日本GP決勝レース

フェルスタッペンはまた、2022年シーズンのハイライトにスパ・フランコルシャンでのベルギーGPを挙げた。

サマーブレイク明けの初戦でフェルスタッペンは予選最速ながらもパワーユニット(PU)交換ペナルティで14番グリッドに着き、後続に17.841秒もの大差を付ける大逆転優勝を飾った。ファステストラップの1点を含むパーフェクトレースだった。

「ただただ、あれは圧倒的で支配的な週末だった。ああいう事は滅多にあるもんじゃないよ」とフェルスタッペン。

「あの夜、家に帰って週末を振り返ってみて、如何にクレイジーで特別なことだったかに気づいたんだ」

逆に最悪の瞬間については燃料システム系統のトラブルで相次いでリタイヤを余儀なくされたシーズン序盤を挙げた。

「リタイヤが多かったシーズン序盤だね。たとえ少しばかり悪いレースであったとしても、常にポイントを獲得しなきゃならないのにそれができなかったんだから」

2年連続、混乱の末のタイトル

激闘の2021年シーズンと支配的な2022年シーズン。フェルスタッペンは両者を比較する事はできないとしたが、戴冠が決まったのはいずれも異例の混乱を経てのことだった。

ルクレールに対する5秒ペナルティを経てペレスがレース後に2位に昇格した事で、国際放送ではフェルスタッペンのチャンピオン獲得が報じられた。フィニッシュラインまであと数百メートルのところでコース外に飛び出た事が処罰の理由だった。

ただその一方で各国のF1ジャーナリスト、チーム、ドライバー、つまりFIA以外の非常に多くの関係者がタイトル持ち越しを予想していた。

それは規定周回数を満たさないままチェッカーが振られた事で、ポイント減額ルール適応の対象になると思われたためだが、実際に減額となるのはレースが”途中終了”となった場合であったため、フェルスタッペンにはフルポイントが与えられ、その結果、チャンピオンが確定した。

フェルスタッペンは「レース中はポイントがどうなるのか、全く分かっていなかったんだ。当然、メインターゲットはレースで優勝することだった」と鈴鹿でのレースを振り返った。

「フィニッシュラインを駆け抜けて『ああ、最高のレースだった』って思ったけど、ワールドチャンピオンになったとは思ってなかった」

「レース後のインタビューを受けていたら突然、メカニックの皆が歓声を上げ始めたんだ。何事かと思ったよ。そしたらシャルルに代わってチェコが2位になっていることに気がついたんだ」

「それでもフルポイントなのかハーフポイントなのか、あるいは75%なのか、まだ分からなかった。もちろん、ルールには目を通していたけどね」

「そうしたらトム(FIAメディア・デリゲートのトム・ウッド)が僕のところに来てワールドチャンピオンだって言ってくれたんだ。それで祝杯を挙げた」

「でもその後、皆から『いや、ポイントが足りない』なんて言われてね。でも最終的にフルポイントが取れて、再びワールドチャンピオンになれたんだ」

なお昨年は、アブダビGPの最終盤のクラッシュを経てセーフティーカー(SC)が導入され、リスタートを迎えたファイナルラップでハミルトンをオーバーテイク。これによって自身初のチャンピオンをもぎ取ったが、SC解除を巡る一連のプロセスが物議を醸した。

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