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更に接近するアストンマーティンとメルセデス…F1での活動にも影響か

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2013年よりメルセデスAMGの最高経営責任者を務めるトビアス・モアーズが、アンディ・パーマーに代わって新たにアストンマーティンのCEOの座に就く見通しとなった。経営陣の見直し人事によって、両者の関係は更に強化される事になる。追記:5月26日に正式発表

アストンマーティンは現時点でコメントを差し控えているが、複数の英国メディアの報道によれば、26日(火)にメルセデスのハイパフォーマンス部門の現トップのCEO就任が発表される見通しだという。親会社のダイムラーはアストンマーティンの議決権制限株式を保有する。

アストンマーティンのアンディー・パーマーCEO
© Aston Martin / アンディー・パーマーCEO

パーマーは日産自動車の副社長などを経て、2014年にアストンマーティンのトップに就任。破綻寸前にあった同社の立て直しに着手した。だが2018年10月の株式上場以来、株価は右肩下がりのままに9割以上下落し、現在は紙屑のような価格で取引されている。

その背景には1億3,600万ポンドもの莫大な上場コストによる財務の悪化や、ディーラーへの過剰供給、エントリーモデル「バンテージ」の販売不振などによる売上及び利益低下がある。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって経営状態は更に悪化し、アストンマーティンは今年3月の総会で、カナダ人実業家のローレンス・ストロールが主導する5億ポンド規模(約670億円)の緊急支援策の受け入れを正式に承認した。

これに伴いレーシング・ポイントF1のオーナーでもあるストロールは、4月20日付でアストンマーティンのエグゼクティブ・チェアマンに就任。2021年シーズンよりレーシング・ポイントがアストンマーティンを名乗り、FIA-F1世界選手権に参戦する事を改めて発表した。

ローレンス・ストロール
© Aston Martin / ローレンス・ストロール

アストンマーティンは2013年より、独シュツットガルトの自動車メーカーからV8エンジンの供給や技術供与などを受けており、既にメルセデスと利害関係にあるが、今回の経営人事によって両者の関係が一層強固なものとなる事は明らかで、2021年以降のF1での活動への影響が注目される。

レーシング・ポイントの今季型F1マシン「RP20」はパワーユニットのみならず、昨季型のメルセデスF1マシン「W10」のギアボックスやサスペンションを流用。メルセデスの風洞を用いて開発を進め、そのマシンコンセプトを模倣し、一部で”ピンクメルセデス”と呼ばれるなど、前年までとは異なり車両の設計開発で協力的な関係を築いたが、技術領域に限ることなく、こうしたシナジーがより追求される可能性がある。

再三の否定にも関わらず、メルセデスが今季限りでF1を撤退するのではとの噂はくすぶり続けている。

ダイムラーは、EV化などの開発コスト負担とディーゼル車の排ガス不正疑惑への関連費用で収益が大幅に悪化。足元がおぼつかない状況の中で、新型肺炎による需要低迷にさらされている。先月発表された2020年第1四半期の決算では、メルセデスを含むグループ全体の純利益は前年同期78%減の1億6,800万ユーロと厳しく、2020年通期の業績見通しついては具体的な数字への言及を避けている。

現在チーム代表を務めているトト・ウォルフの動向にも注目が集まる。ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのボスは今年4月、アストンマーティンの株式3700万ポンド分(約49億7,914万円)を取得した。あくまでも金銭的な投資の一貫であり、メルセデスでの役割に影響はないとしているが、ディーター・ツェッチェに代わって新たにダイムラーの指揮を執るオラ・ケレニウスとの関係が良好でないとも報じられており、2021年以降も現職に留まる保証はない。