ベッテルが今年レーシングポイントに乗っていたら既に表彰台に上がっていたはず、とベルガー
元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、仮にセバスチャン・ベッテルが今年、フェラーリではなくレーシングポイントをドライブしていれば、開幕3戦を終えた段階ですでに表彰台を獲得してランキングの上位に並んでいたはずだと考えている。
ベッテルは今季末を以てフェラーリを離れる事が確定しており、その後任には現マクラーレンのカルロス・サインツが収まる。トップチームの席は事実上空きがないが、33歳のドイツ人ドライバーはキャリア続投に熱意を示しており、来季よりアストンマーティンへと改称するレーシングポイントF1チームへの移籍が囁かれている。
英国シルバーストンを拠点とするレーシングポイントは、2019年のチャンピオンマシンであるメルセデス「W10」をモデルとして「RP20」を作り上げた。その類似性の高さから一部では冗談半分に「ピンクメルセデス」と呼ばれており、ライバルのルノーはレギュレーション違反を主張し国際自動車連盟(FIA)に正式な抗議を申し立てている。
似ているのは見た目だけではない。飛躍的にパフォーマンスを向上させたRP20は今季のグリッドを席巻しており、開幕3連勝を上げたメルセデスに次ぐ2番手のポジションをレッドブル・ホンダと競っているほどだ。
ベネトンやフェラーリ、マクラーレンでF1を戦い、キャリア通算10勝を誇るオーストリア人ドライバーは、引退後にスクーデリア・トロロッソの共同オーナーとしてベッテルと関わり、時に指導に当たった経緯を持つ。そんなベルガーは、ベッテルが今年のピンクメルセデスを駆っていれば、ルイス・ハミルトンやバルテリ・ボッタス、マックス・フェルスタッペンを大いに翻弄していただろうと考えている。
ベルガーはF1-Insiderとのインタビューの中で「セバスチャンは完全に吹っ切れているように見える。今季のフェラーリのマシンは遅く、彼にはもはや、何が何でも勝たなければならないというプレッシャーはない。ハンガリーでの彼は以前の彼に戻っていた。ルクレールに(ベッテルを倒す)チャンスは欠片もなかった」と語った。
「レーシングポイントのドライバーであるセルジオ・ペレスとランス・ストロールを悪く思っているわけではないが、セバスチャン・ベッテルが”中古のメルセデス”をドライブしていれば(ドライバーズランキングで)2位になっていた事だろう」
フェラーリの今季型マシン「SF1000」はエンジン性能の低下は当然として、シャシー側にも大きな課題を抱えている。立て直しを図るマラネロは”パフォーマンス開発部門”を新設。その責任者にエンリコ・カルディーレを任命したが、チーム代表のマッティア・ビノットは、復活には「長い時間がかかる」としており、チャンピオンシップへの返り咲きのためには最低でも2022年まで待つ必要があると見られる。