ヴァンウォールの1958年型F1マシン「VW5」のコックピットとステアリング

お値段なんと2億円超え!史上初のF1コンストラクター王座に輝いたヴァンウォールF1「VW5」の復刻モデルが登場

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イギリス車として史上初めてF1世界選手権で優勝した1958年のヴァンウォールF1マシン「VW5」を忠実に再現したレプリカが世界限定6台で制作され、165万ポンド(税抜)、日本円にして約2億2,600万円で発売されることになった。

この程、ヒストリックカーの修復を専門とする英国リンカンシャー州ボーンのホール&ホール社の協力の下、1958年の「VW5」を丹念に再現したレプリカがこの世に6台生み出された。その内の1台はヴァンウォール・ヒストリック・レーシング・チームが所有するが、残りの5台が市場に売りに出される。

ヴァンウォールの1958年型F1マシン「VW5」の外観

ヴァンウォールの1958年型F1マシン「VW5」の外観横

制作に関しては、1950年代のオリジナルの図面や設計図が使用され、全ては手作業によって作られた。搭載するのは270馬力を発する2,489ccのVanwallエンジン。このクルマはコリン・チャップマン設計のシャシーに、フランク・コスティンが手掛けたエアロダイナミクスが組み合わされたもので、当時は革新的なエンジニアリングの代名詞とされていた。

ヴァンウォールの1958年型F1マシン「VW5」のエンジン

モータースポーツで成功を収めた英国ブランドと言えば、マクラーレンやロータス、ジャガーやアストンマーティン、ベントレーといった名が挙がる事だろう。だがヴァンウォールを忘れてはならない。

1954年の初参戦から4年後、ヴァンウォールはスターリング・モスとトニー・ブルックスが第5戦イギリスGPでトップチェッカーを受け、イギリス勢として初めてF1での優勝を飾った。そしてその翌1958年には11戦中6勝を挙げ、この年に創設されたばかりのF1コンストラクターズ選手権の初代チャンピオンに輝いた。

しかし、栄光の時は一瞬で終わりを迎える。

創業者トニー・ヴァンダーヴェルはこの時、齢60を越えていたが、チーム運営に追われた事で健康状態が悪化していた。更に、1958年の最終モロッコGPで3台目のヴァンウォールVW5を駆っていたルイス・エバンスがクラッシュ。大火傷を負って6日後に病院で死亡した事でモチベーションを失い、この年を以てチームを去った。

ヴァンダーヴェルの意欲と野心、そして資金を失ったことでチームは崩壊。ヴァンウォールの名はF1から消え去った。

それから40年の歳月を経て、「ヴァンウォール」のネーミングライツは2012年に自動車部品サプライヤーのマーレからオフショアパワーボートレースのチャンピオンであるイアン・サンダーソンへと渡り、ヴァンウォールグループへと引き継がれた。

VW5の復刻は、ヴァンウォール復活の可能性を示唆している。ヴァンウォールのスポークスマンは「エンジニアリングとイノベーションにおけるヴァンウォールの伝統を活かし、この歴史的なブランドのDNAを2020年代の車両にどのように反映させることができるかについて、我々はすでに調査を開始している」と語っている。

ヴァンウォールの1958年型F1マシン「VW5」のコックピットとステアリング

ヴァンウォールの1958年型F1マシン「VW5」の外観リア