マクラーレン、今シーズンを完全に捨て去ったか?鈴鹿に続き異様にコンサバなタイヤ選択 / F1アメリカGP タイヤ配分
2018年F1世界選手権第18戦アメリカGPのドライバー別タイヤ選択が公表された。高低差30.9mにも達するターン1が印象的なサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)に持ち込まれるのは、昨シーズンと同じ紫ウルトラソフト、赤スーパーソフト、黄ソフトの3種類のピレリタイヤ”P Zero”。
COTAは、鈴鹿のS字ような高速コーナーが連続するセクター1と、ヘアピンからのロングストレートを持つセクター2、右に左にうねる低速レイアウトのセクター3から構成される。まだ路面が比較的新しいためグリップ力は高いものの、タイヤへの負荷は大きめの部類に入る。
前戦日本グランプリでは、マクラーレンが他のチームと比較して異様な程多く固めのコンパウンドを選択。アメリカGPでもフェルナンド・アロンソがソフト:6、スーパーソフト:2、ウルトラソフト:5と、ライバルと比べると突出してコンサバなアロケーションとなっている。
マクラーレンは今年、第4戦アゼルバイジャンまではダブル入賞を続けポイント獲得を連発していたものの、第6戦モナコGP以降は徐々に失速。日本GP予選では事実上の19・20番手と、ワーストマシンのレッテルを貼られる始末で、目も当てられない悲惨な状況にある。
鈴鹿での極端なタイヤチョイスに関しては”一体何を考えているのやら”と言った声が多かったが、アメリカGPでも同様の傾向が続く事を考えると、マクラーレンは既に今シーズンを完全に捨て去っているのかもしれない。
F1チームは概ねシーズン後半から来季マシンの開発にリソースをシフトし、段階的に今シーズンの開発からフェードアウトしていく。だが開発の手を止めたとしても、通常は各グランプリそのものには全力投球する。
マクラーレンは鈴鹿でのFP1を来季開発のためのテスト走行の場として使用。日本GPで最良の結果を出すための準備の場として使うことをしなかった。開発のための走行には、柔らかいコンパウンドよりも1ラップ1ラップを安定的に走りやすい固めのコンパウンドの方が好ましい。硬め重視のタイヤ配分の背景には、今季を捨てて来シーズンを見据えんとするマクラーレンのスタンスが見え隠れしている。
昨年のレースでは完走16台中9台が1ストップで、7台が2ストップを敢行。戦略が大きく分かれたレースとなった。F1アメリカGPは、日本時間10月20日土曜深夜1時からのフリー走行1で幕を開ける。