引退は早すぎ? ベッテル「恋しくなる…」またも魅せた王者の走り…マグヌッセンとの最終周バトルでファンを湧かせる
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アストンマーチンのセバスチャン・ベッテルはF1第19戦アメリカGPの決勝で、タイヤ交換の際に16.8秒ものロスを強いられトップ10圏外に転げ落ちながらも、粘りのレースで7位入賞を飾った。
また、昨年のアゼルバイジャンGP以来、2周に渡って先頭を走行したことでキャリア通算リードラップを3,501周にまで伸ばし、更には18.4%の得票を得て2戦連続でドライバーズ・オブ・ザ・デイにも輝いた。
10番グリッドに着いたベッテルは1周目に一気に5番手までポジションを上げると、一時は首位を走行。だが、ピット作業でのロスによって、残り15周というところでポイント圏外13番手にまで転落した。
それでも4度のF1ワールドチャンピオンはオーバーテイクを繰り返していき、最終ラップのターン16へのアプローチでケビン・マグヌッセン(ハース)に並びかけると、ターン18でアウト側から強襲。続く最終2つ前のコーナーでのブレーキングでポジションを奪い、0.480秒差で8位フィニッシュ(最終7位昇格)を果たした。
鈴鹿サーキットで行われた前戦日本GPでもベッテルは、最終ラップのフィニッシュラインに至るまでフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)との超接近戦を繰り広げ、1000分の11秒差でポジションを死守。ファンを熱狂させた。
マグヌッセンと健闘を称え合った後にヘルメットを脱いだベッテルは、レースを離れたくなくなったのでは?との問いかけに対し「こういう瞬間が恋しくなるのは間違いないだろうね。今日や鈴鹿でのバトルをね」と答えた。
「でも、引退の決断は熟慮の末に出したものだし、アドレナリンが出なくなる時の事についても考えた」
「だから、そうだね…寂しくなるのは間違いないだろうけど、一方ではこれから起きることを楽しみにしてもいるんだ」
引退へのカウントダウンが6を切ってからのベッテルのパフォーマンスは印象的だ。過去3戦でポイントを獲得し、そのすべてでトップ8を手にしている。
35歳のドイツ人ドライバーは、もっと上位を争う事を望んでいるとしながらも、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でのマグヌッセンとのバトルは楽しかったと振り返った。
「もちろん、1位とか2位、3位じゃなく8位を懸けてのレースだったけど、それでも本当に楽しかった」
「残念ながら、楽にオーバーテイクできる程のペースはなかったから、いつもとは違う形でブレーキングを試したり、変わった場所で変わった事にトライする必要があった」
「その結果、上手くやることができた。間違いなく楽しめたし、何度か厳しいバトルもあった。特にケビンとの最終ラップがそうだった」
「あれはちょっとしたクライマックスだったね。彼はグリッドに着くドライバーの中で最も追い抜くのが難しい1人だから」
「でも彼は僕に対して十分なスペースを残してくれた。お互いに楽しめたと思うし、良いバトルだったと思う」
「ピットストップでの遅れがなければ6位は楽勝だっただろうね。でも今日はマシンのペースが良く、競争力があったっていうポジティブな面に目を向けるべきだ」
「しばらくの間リードラップを走れたのも良かったよ。なんせ久しぶりだったからね」
10月23日(日)にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われた2022年F1第19戦アメリカGPの決勝レースでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペンが今季13勝目を上げ、レッドブル・レーシングが9年ぶりのコンストラクターズ選手権制覇を成し遂げた。
エルマノス・ロドリゲス・サーキットを舞台とする次戦メキシコGPは10月28日のフリー走行1で幕を開ける。