F1トスカーナGP:再始動時の赤旗クラッシュの一件で12名のドライバーが警告処分
F1トスカーナGPのレーススチュワードは、1回目の赤旗導入の原因となった多重クラッシュの原因は「一貫性を欠いたスロットル及びブレーキ操作を行ったドライバー」にあるとして、計12名のドライバーに警告を与えた。
警告は今シーズンより導入された新たなペナルティシステムで、叱責とは異なりFIAスーパーライセンスへのペナルティポイントが科される事はなく、”厳重注意”的な意味合いを持つものと解釈される。
Lap 7 restart at Mugello = carnage 😮 💥
Four drivers = OUT
And all four walked away unscathed, thankfully 🙏#TuscanGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/d8crtpUa9H
— Formula 1 (@F1) September 13, 2020
レーススチュワードは2度の赤旗中断と8台がリタイヤを喫した大波乱のレースを終え、ケビン・マグヌッセン(ハース)、ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)、そしてダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)の3名並びに、チーム代表者への聴取を行い、車載カメラを含む映像証拠と、一件に関与した各車のテレメトリの調査を行った。
その結果としてスチュワードは「この事故の根本的な原因は、最終コーナーからピットストレートにかけて、スロットルとブレーキを一貫性なく操作したドライバー達にある」と結論づけ、セーフティカー再開時のルールを定めたF1競技規約第39条13項への違反を認定した。同項には次のような記述がある。
「セーフティカーがピットへ戻る前の事故発生を防ぐため、セーフティカーライトの消灯以降、ドライバーは一貫性を欠く加速や減速、または他のドライバーを危険にさらす、あるいは再スタートの妨げとなるようなその他一切の行為を行わずに一定のペースで走行すること」
警告が与えられたのは、この一件でリタイヤを強いられたマグヌッセン、ラティフィ、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)、カルロス・サインツ(マクラーレン)の4名を含む以下の12名だ。
- ケビン・マグヌッセン
- ダニール・クビアト
- ニコラス・ラティフィ
- アレックス・アルボン
- ランス・ストロール
- ダニエル・リカルド
- セルジオ・ペレス
- ランド・ノリス
- エステバン・オコン
- ジョージ・ラッセル
- アントニオ・ジョビナッツィ
- カルロス・サインツ
隊列の先頭にいたバルテリ・ボッタス、ルイス・ハミルトン、そしてアレックス・アルボンの3名は、リスタートの合図となるセーフティカーライトの消灯タイミングが遅かった事が事故の一因だと主張していたが、こうした見解に対してFIAレースディレクターを務めるマイケル・マシは不快感を示し「誤りだ」と反論した。
なお、当時隊列を先導していたボッタスが加速を遅らせた事が事故につながったとの声もあったが、スチュワードは「77号車のドライバー(ボッタス)並びに、警告を受けていない他のドライバーはレギュレーションを遵守していた。77号車には、レギュレーションの定めに基づきペースを決定する権利があった」として、ボッタスに責任がないことを書面に残した。
スチュワードは更に「前走車両の真後ろにつかなければ事故に巻き込まれる事を避けられたかもしれない」としてドライバーに今後の注意を促すと共に、罰則ではなく警告処分に留めた理由を「いずれのドライバーにも完全、あるいは主だった責任があったわけではないため」と説明した。