
要因はローソンの加点ではなく「角田の失点」昇格争いの内幕明かすレーシングブルズCEO
レーシング・ブルズのピーター・バイエルCEOが、角田裕毅とリアム・ローソンの間で繰り広げられたレッドブル昇格を巡る議論について、当時の舞台裏を明かした。どちらが選ばれるかは際どい状況であったが、「幾つかのミス」が原因で角田はローソンに敗れ去ったという。
僅差の争い「我を忘れた」角田のミスが分岐点に
独「Motorsport-Total」によると2025年に向けたレッドブルのシート争いは「非常に僅差」であった。バイエルは、「ヘルムート・マルコも言っていたと思うが、検討されていた時期にユーキは幾つかミスをしてしまった」と指摘し、”ローソンの加点”ではなく”角田の失点”が最終判断に影響したと示唆した。
その一例として挙げたのが、2024年メキシコGP予選での出来事だ。Q3進出が確実視されていた中、角田はQ2の最終ラップで左フロントをロックアップ。車体左側からバリアにヒットし、赤旗が振られたことでチームメイトのローソンはアタックを完了できず、Q3進出のチャンスを失った。
「エンジニアとのコミュニケーションの中で、ユーキが再び我を忘れるような場面があった。然るべきタイミングでミスをすれば、困難な状況になる」と、バイエルは当時を振り返った。
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エルマノス・ロドリゲス・サーキットのターン12でクラッシュを喫し、クルマを降りた角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年10月26日F1メキシコGP予選
なお、角田は翌日の決勝レースでもクラッシュを喫し、クルマの競争力をポイント獲得に繋げることができなかった。
この出来事についてレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは当時、決勝については角田に責任なしとしたが、予選に関してはローソンのアタックが妨げられたことに触れ、「二重に悔やまれる結果」と厳しい評価を下した。
そして、こうしたミスは、角田がローソンからの「プレッシャー」を感じていることの表れであるとの考えを強調し、「それ以外に説明がつかない」と付け加えている。
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エルマノス・ロドリゲス・サーキットのターン1脇のバリアに衝突する角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年10月27日F1メキシコGP決勝レース1周目
全会一致でのローソンの起用と誤算
最終的にレッドブル首脳陣は、「プレッシャーがかかるとミスをする」というイメージが定着した角田ではなく、「将来的なポテンシャル」に期待を寄せ、「リスクを承知」の上でローソンの起用を決定した。「あの時点では、全会一致でリアムが適任だという結論に至った」とバイエルは強調した。
しかしその判断は、開幕2戦を終えて早くも見直されることとなった。ローソンは期待された結果を残せず、日本GPを前に角田が昇格。ローソンはわずか2戦でレーシング・ブルズに降格する形となった。
バイエルはこの交代劇について、ローソンにかかる「プレッシャーの大きさを過小評価していた部分もあった」と率直に認める。
「10位から20位を走っている間は周囲もそこまで注目していないが、トップ5に入ると突然メディアが押し寄せ、WhatsAppには応援メッセージが溢れ、期待値が一気に上がる」
そして、このような環境の変化がローソンに過度なプレッシャーを与えたとし、今はレーシング・ブルズで「トップチームの陰に隠れて走る」ことがローソンの役に立つはずだと主張した。
「我々のマシンはスピードの面で基本的に速さがあるし、彼がすぐに調子を取り戻し、中団上位争いに返り咲いてくれることを期待している」とバイエルは付け加えた。