アストンマーチンAMR22に乗り込むランス・ストロール、2022年3月19日F1バーレーンGP
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

辛辣すぎる…開幕無得点のアストンマーチンとストロール親子に各方面から痛烈批判

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アストンマーチンにとって2022年シーズンの開幕、F1バーレーンGPは忘れ去りたくとも忘れられないレースとなった。リードドライバーを欠いた英国シルバーストンのチームは悪い意味で驚きの初戦を過ごす事となった。

セバスチャン・ベッテルがコロナ陽性で欠場を強いられた事で、アストンマーチンはランス・ストロールのチームメイトとしてリザーブドライバーのニコ・ヒュルケンベルグを起用した。”スーパーサブ”がAMR22を走らせるのは今回が初めてだった。

アストンマーチンのセバスチャン・ベッテルの代役としてF1バーレーンGPに参加したニコ・ヒュルケンベルグ、2022年3月20日Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

アストンマーチンのセバスチャン・ベッテルの代役としてF1バーレーンGPに参加したニコ・ヒュルケンベルグ、2022年3月20日

予選では2台ともがQ1敗退を喫し、レッドブル・パワートレインズ(ホンダ)勢のトリプルリタイヤにも関わらず決勝レースではストロールが14位、ヒュルケンベルグが17位と2台揃ってポイント圏外でフィニッシュした。

チームはAMR22について、ポーパシング現象の影響でコンマ5秒以上を失っているとみているが、仮にそうであったとしても少なくともバーレーンでQ3に進出する事はなかった計算で、残り22戦の今シーズンに対する不安の声が散見される。

元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは「AvD Motor & Sport」の中で、AMR22は「失敗作」と呼ばれているとして、不甲斐ないマシンの裏にはチームの構造的な問題があると指摘した。

「多くの人材と大金を鍋に入れざっとかき混ぜて、そこから何か良いものが生まれることを願うなんてF1ではありえない」とラルフ・シューマッハ。

「チームはブルドーザー方式を使いたがっているが、それはトヨタでも上手くいかなかった」

パナソニック・トヨタ・レーシングは年間500億円以上とも噂される巨額の予算を投じながらも1勝もできずにF1を去った。46歳のドイツ人ドライバーは2005年から2007年までトヨタF1に在籍していた。

ラルフ・シューマッハは更に「チームオーナーがすべてのミーティングに同席して、こうあるべきだと意見していると耳にした。もしそうであるならば実に厄介だ」と付け加え、ローレンス・ストロール会長の手腕とチームへの関与のあり方を批判した。

そもそもアストンマーチンの前身であるフォース・インディア(レーシングポイント)は、少ない予算で結果を最大化する事に長けたレーシングチームとして高い評価を受けていた。

王者チームのメルセデスW10に外観が酷似していたために”ピンクメルセデス”と一部で揶揄されたRP20は、2020年にコンストラクターズランキング4位というチーム史上最高位をもたらしたが、ローレンスがアストンマーティン・ラゴンダを買収し、レーシングポイントをアストンマーチンF1チームへと改称した2021年はランキング7位と低迷。そして迎えた今季開幕戦はノーポイントに終わった。

ラルフ・シューマッハもさることながら、1997年のワールドチャンピオン、ジャック・ビルヌーブは更に辛辣だ。

50歳のカナダ人ドライバーは「Formule 1」に対して「アストンマーティンにはあまり期待していなかったが、メルセデスのコピーばかりしてきたために、クルマをデザインする方法を忘れてしまったのかもと思うくらいだ」と語った。

「トップで戦うには野心やお金だけではダメなんだ。F1というのは特殊なスポーツであって、マーケティングやブランディングだけではないんだ」

批判の矛先はチームに留まらない。

バーレーンの予選では、2020年10月のF1アイフェルGP以来、実戦から遠ざかっていたヒュルケンベルグが僅か3時間のプラクティスのみでストロールを下した。2人の差は0.255秒に及んだ。

ラルフ・シューマッハは「ストロールは別の趣味を見つけるべきかどうか、自分に問いかける必要がある。あれは本当に恥ずべき事だった」と批判。通算41戦を誇る元F1ドライバーのカール・ヴェンドリンガーも「ランス・ストロールはテストの間に何をしていたのか、自分に問いかけなければならない」と同意した。

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