角田裕毅、9位剥奪「受け入れ難い」周冠宇は”ふり”をした、と主張。アルファタウリは走り絶賛するも…

レース前のグリッドに立つ角田裕毅(アルファタウリ)、2023年6月4日F1スペインGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

F1第8戦スペインGPで科された5秒ペナルティについて角田裕毅(アルファタウリ)は「馬鹿げている」「かなり厳しい」との考えを示し、力強いパフォーマンスで9位フィニッシュを果たしながらも、スチュワードの裁定によりポイントを失ったこの現実は「受け入れ難い」と失望をあらわにした。

9位を奪ったターン1のインシデント

15番グリッドに着いた角田裕毅は1周目に誰よりも速いラップタイムを記録して一気に3台を交わすと、7周目に早くもポイント圏内10番手にまで浮上する最高のスタートを切った。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)をオーバーテイクする角田裕毅(アルファタウリ)、2023年6月4日F1スペインGP

その後もトップ10圏内をキープし、今季3回目の入賞に向けて突き進んでいたものの、残り10周という最終盤、後続の周冠宇(アルファロメオ)がターン1のアウト側に飛び込んだ。

角田裕毅はブレーキングを遅らせこれに応戦。ターン2に向けてポジションを守り抜き、周冠宇はエスケープに飛び出した。接触はなかった。

一件についてFIAスチュワードは、ターン1のエイペックスを越えた時点で周冠宇が前に出ていた等として、角田裕毅が「コース外に追いやった」と判断。FIA国際競技規則付則L項第4章第2条bへの違反があったと認め、5秒のタイムペナルティと1点のペナルティポイントを科す裁定を下した。

この結果、角田裕毅は9位でチェッカーを受けたものの、周冠宇、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)にポジションを奪われ12位に降格した。

スチュワードの決定はレース中に下されていたが、チームが角田裕毅に伝えたのはチェッカーフラッグ後のことだった。

周冠宇は追いやられた”ふり”をした

レース後、インタビューに応じた角田裕毅は、ポイントに値するレースだったと感じているのでは?との質問に対して「正直なところ、文字通り全てのラップで全力を出し切ったので、あのペナルティは僕の見方ではかなり厳しいと感じています」と答えた。

そして「突然、他のクルマがエリア外に飛び出して、僕が追いやったかのように見せかけましたが、スペースは残っており、彼はコースに留まれたはずです」と主張し、幅寄せされた「ふり」をしたとして周冠宇を非難した。

「良いレースを戦っただけに、ポイントを失うというこの現実は受け入れがたいものがあります。ガッカリです。本当にガッカリです」

一方で周冠宇は、角田裕毅に「完全に押し出された」として「スチュワードは正しい判断を下した」と主張した

Courtesy Of Alfa Romeo Racing

レース前のグリッドに立つ周冠宇(アルファロメオ)、2023年6月4日F1スペインGP

また、RaceFansによると角田裕毅はペナルティを「馬鹿げている」と形容し、「スペースを残したのに、彼は早々に諦めてしまったように感じます」「彼は外に出て押し出されたかのようなふりをしました」と付け加えた。

更に、スチュワードは決定を下す前にドライバーの話を聞くべきだったと訴え「不公平だと感じています」と繰り返した。

Courtesy Of Alfa Romeo Racing

カタロニア・サーキットを周回する周冠宇(アルファロメオ)、2023年6月3日F1スペインGP

角田裕毅と異なる見解のアルファタウリ

車両パフォーマンス部門を率いるギヨーム・デゾトゥーは角田裕毅の走りを「途方もなく素晴らしかった」と絶賛する一方、周冠宇に対して十分なスペースを残してはいなかったとの考えを示した。

「彼はレースの大部分を通してオコンの側を走り続けた。レースペースという点で勇気づけられた」とデゾトゥーは振り返った。

「ただ残念な事に、ターン1で周に対してディフェンスした際、エイペックスのところで十分なスペースを残さず、それによって5秒のペナルティを受け12位に終わった」

デゾトゥーの発言からは、ペナルティは受け入れざるを得ないとの考えが読み取れる。アルファタウリが本件に関して再審請求権を行使する可能性は低そうだ。

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車両パフォーマンス部門を率いるギヨーム・デゾトゥー、2023年4月29日F1アゼルバイジャンGP

失意の週末となった事は間違いないが、それでも次戦以降に繋がるパフォーマンスを確認できたという点で前向きな材料があった事も確かだ。

「これまで抱えていたブレーキの問題を改善するためにチームが素晴らしい仕事をしてくれましたし、ここ2戦に渡ってポイント争いに加わる事ができました」と角田裕毅は語る。

「これはクルマの改善とハードワークが報われたことを示すものだと思います」


6月4日(日)にカタロニア・サーキットで行われた2023年F1第8戦スペインGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がグランドスラムを達成して通算40勝目を飾り、2位にルイス・ハミルトン、3位にジョージ・ラッセルとメルセデス勢がダブル表彰台に上がった。

ジル・ビルヌーブ・サーキットを舞台とする次戦カナダGPは6月17日のフリー走行1で幕を開ける。

F1スペインGP特集

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