メルセデス、ラウダの命日に光明の2-3…前回とは異なり”真の復活”が期待できそうな理由
大幅改良が施されたメルセデスW13を手にしたジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンは、ニキ・ラウダの3回目の命日となった5月20日(金)のF1第6戦スペインGP初日を各々、2番手と3番手で締め括った。今度こそ、真の復活への第一歩となるかもしれない。
2週間前の前戦マイアミGPでもラッセルは初日フリー走行で最速タイムを刻んだ。ただその際、2人は改善の兆しを感じておらず、怪訝そうな表情で自分たちのラップタイムを見ていた。だが今回は違う。
ハミルトンは「ポジティブだ!超ハッピーだよ!諦めずにプッシュし続けてくれたファクトリーのみんなに、本当に、本当に、本当に感謝してる」と実に嬉しそうな表情を浮かべた。お通夜のようだった過去5戦には見られなかった満面の笑みだ。
メルセデスはフロアを中心とした大幅なアップグレードパッケージをスペインに持ち込んだ。W13が抱えていたポーパシングの解決に一定の道筋が見えた事の意義は大きい。
「ストレートで跳ねることなく走れたのは初めてだ。まだバウンドはするけど、だいぶ良くなったよ」とハミルトンは語った。
「タフな状況にあることに変わりはないけど、以前よりも遥かにドライブしやすくなった。今回持ち込んだアップグレードに関して、これから微調整していく事になる」
ラッセルもまた、コーナでは今も変わらず発生しているものの「ストレートでのポーパシングはなくなった」と認め「クルマの反応は確かに変わった」と指摘した。
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンも「今回の空力アップデートによってバウンシングが低減した」と認めて「ペースも一歩前進したように見える」と付け加えた。
ただ予選ペースではフェラーリに及ばず、ロングランでレッドブルの後塵を拝した事は事実で、2日目に向けて劇的な前進がない限り、バルセロナで三つ巴を期待するのは難しいように見える。
マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスはシングルラップでメルセデスに先行を許したが、ラッセルによるとライバル達は最も出力が低いエンジンモードを使っていた可能性がある。
「レッドブルは依然として本当に手強そうだし侮れない。ただ、週末を通して近づけない理由もないと思う」とラッセルは語る。
「パワーモードの違いから現時点でペースを判断するのは難しいけど、フェラーリとレッドブルはパワーモードが最も低いように見えた」
ショブリンも「中団グループから抜け出すことができたのではないかと思う」としつつも「レッドブルやフェラーリのレベルには及んでいない」と認めた。
メルセデスは2013年以降、スペインGPの全てのポールポジションを独占し続けてきた。その記録の更新を期待するのは現実的ではないだろうが、予選と決勝で何処までフロントランナーに迫れるか、注目される。
ハミルトンは「まだ最速とは言えないけど、これからが勝負だと思っている。データも集まった事だし、明日に向けて更に良い状態に持っていけると思う」と付け加えた。
初日をトップで締め括ったのはシャルル・ルクレール(フェラーリ)。2番手にはジョージ・ラッセル、3番手にはルイス・ハミルトンと、メルセデス勢が続く結果となった。
F1スペイングランプリ3回目のフリー走行は日本時間5月22日(土)20時から、公式予選は同23時から1時間に渡ってカタロニア・サーキットで開催される。