ジョージ・ラッセル「胸が張り裂けそう…」勝利まで”半車身”、最終周クラッシュで言葉失う

最終ラップでのクラッシュを経てインタビューを受けるジョージ・ラッセル(メルセデス)、2023年9月17日F1シンガポールGPcopyright FORMULA 1

メルセデスにとっての今季初優勝に全てを懸けたジョージ・ラッセルの週末は、トップチェッカーまで「あと半車身」と迫りながらも、ファイナルラップでの劇的クラッシュにより「胸が張り裂けそうな」結末を迎えた。

最前列2番グリッドから9月17日(日)のF1第16戦シンガポールGPをスタートしたラッセルは、スタート直後にシャルル・ルクレール(フェラーリ)に先行を許すも、62周のレースの23周目以降は2番手をキープ。カルロス・サインツ(フェラーリ)の背中を追った。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ランド・ノリス(マクラーレン)をリードするジョージ・ラッセル(メルセデス)、2023年9月17日F1シンガポールGP決勝レース

ただ、ここは抜けないマリーナベイ市街地コース。このまま走行を続けても決して勝利は手に入らない。そこでエステバン・オコン(アルピーヌ)の停車によるバーチャル・セーフティーカー(VSC)を機に、2位の座を捨ててミディアムタイヤに履き替える賭けに出た。

この追加のピットストップにより一時は4番手にまで後退するも、フレッシュタイヤのアドバンテージを活かしてトップグループを猛追。残り6周で2番手ランド・ノリス(マクラーレン)の2秒以内に迫った。

メルセデスの2台を含む4名による終盤の熾烈な優勝争いは、まさに息を呑むものであった。残り3周でノリスのDRS圏内を掴んだラッセルは猛チャージ。あと一歩のところまで追い詰めたものの、最終周のターン10の壁に右リアタイヤを僅かに接触させた事で、続くコーナーを曲がり切れずバリアに突っ込んだ。

悲痛な面持ちでインタビューに応えたラッセルは「言葉がないよ」と感傷的な表情を浮かべた。

「優勝までクルマ半分のところまで迫ったと思う。チャンスを逃さずランドを交わしていれば、カルロスを抜けたと思うけど、最終ラップでほんの1ミリ、集中力を切らしてしまいゲームオーバーになってしまった。チーム全員に申し訳なく思う」

「本当にチャレンジングなレースだった。タイヤはみるみる減っていき、限界までプッシュし続けた。レースとはこうあるべきだと思う。僅かでもミスを犯せば、その分、痛い目を見ることになる」

「本当に素晴らしい週末を過ごせていただけに胸が張り裂けそうだ。クルマの感触は最高だったし、予選もレースも素晴らしく、戦略的にも果敢な決断を下した」

「自分自身とチームを失望させたように思う。辛いけど、もう一度立て直してみせるよ」

チーム代表を務めるトト・ウォルフは「当然、ジョージにとっては残念なレースだった。好調な週末の最後にほんの僅かなミスを一つ犯しただけだが、これがレースというものだ。今日の彼は99.99%、正しくやっていた」と語った。

自分に厳しいラッセルがこの痛みを忘れる事はないだろう。今回の経験はレーシングドライバーとしての彼をどう成長させるだろうか。


2023年F1第16戦シンガポールGP決勝は、カルロス・サインツ(フェラーリ)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続く結果となった。

三重県鈴鹿サーキットを舞台とする次戦日本GPは9月22日(金)のフリー走行1で幕を開ける。

F1シンガポールGP特集

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