アプグレの成否を説明するアルファタウリ、課題残るも「前向きな滑り出し」
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スクーデリア・アルファタウリのチーフ・レースエンジニアを務めるジョナサン・エドルズは、F1第16戦シンガポールGPに持ち込んだ空力アップグレードが期待通りに機能している事を明らかにした。
アルファタウリはマクラーレンと並び、マリーナベイ市街地コースに最も広範な改良コンポーネントを持ち込んだチームの一つだ。
中央部のジオメトリを変更したフロアボディとフロアエッジ、サイドウォールのカットアウトを最適化したディフューザーはいずれも、アンダーフロアのダウンフォース強化を目的としており、フロアの変更に合わせてボディーワークにも手が加えられた。
また、同じく空力的負荷を増加させるべくリアブレーキドラムとリアビューミラーにも改良が加えられ、高温多湿環境への対策としては、冷却効率を向上させるべくサイドポッドの吸気口形状を変更した。
角田裕毅が16番手、リアム・ローソンが12番手で終えた初日セッションを経てエドルズは、2台のクルマにアップグレードを投じた事を明らかにした上で「今日の主な目的の1つは、このアップデートに伴うパフォーマンスについての理解を深め、データを通してここでクルマをどの様にセットアップするのが最善なのかについて検討する事だった」と説明した。
「(予選や決勝と比べて)路面温度が高い事に加えてコースがグリーンであるため、ここでのFP1から学ぶのは常に困難ではあるもののの、パッケージが上手く機能している事を確認するのには十分で、両ドライバー共にクルマに満足していた」
エドルズと同じ様に2人のドライバーも直にアップグレードの効果を実感したという。
四方を壁に囲まれる市街地コースでは、一歩一歩、少しずつ限界を見極めながら、徐々にタイムを削っていくのがセオリーで、走行経験が乏しい場合は尚更だ。
初日のアプローチについてエドルズは「過去数年で何度かイベントが中止されたため、ユーキがここを走るのは2回目で、リアムにとっては初めてであったため、FP1ではできる限り周回数を重ねてドライバーが段階的にペースを上げられるようにすることが焦点だった」と語った。
「予選と決勝に向けた準備の肝となるFP2に向けては幾つか微調整を行った。ミディアムタイヤでのパフォーマンスに関しては、変更が功を奏して正しい方向に進んだものの、ソフトタイヤでのショートランに関しては、リアムがラップタイムを更新した一方、ユーキはグリップに苦しみタイムを改善できなかったため、明日に向けてはこの点に取り組む必要がある」
ローソンは大きくタイムを改善したものの、角田裕毅のミディアムからソフトへの履き替えに際しての改善幅は僅か0.006秒に留まった。
「ロングランでのデグラデーションは何とかコントロールする事ができたが、ライバルは様々なコンパウンドを使っていたため、日曜のレースにおけるベストな戦略を見つけ出すには多くの作業が必要だ」とエドルズは続ける。
「目下の焦点は、ショートランのパフォーマンスと、ソフトコンパウンドのポテンシャルを最大限に引き出すために何をすべきかという点にあるが、全般的に言って前向きなスタートを切れたと思う」
F1シンガポールGPフリー走行2をトップで締め括ったのはカルロス・サインツ。2番手にシャルル・ルクレールが続き、フェラーリが初日1-2を独占した。3番手にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。
3回目のフリー走行は日本時間9月16日(土)18時30分から、公式予選は同22時から1時間に渡ってマリーナベイ市街地コースで開催される。セッションの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。