2023年の角田裕毅を巡る不穏な噂、条件次第ではシューマッハもアルファタウリの候補か
仮にミック・シューマッハがフェラーリとの契約から開放されれば、アルファタウリは2023年のピエール・ガスリーのチームメイトとして、角田裕毅と並びミック・シューマッハの起用を検討するかもしれない。
グランドエフェクトを活用する次世代マシンが導入された今年、ファエンツァのチームはシーズン前半の13戦を終えて計27点のコンストラクター8位と低迷している。その内の16点はガスリーが、11点は角田裕毅が持ち帰った。
アルファタウリは既に、ガスリーが2023年のAT04をドライブする事を明らかにしているが、角田裕毅の去就は発表されておらず、チーム代表のフランツ・トストが「3年目に値する」とする一方、今季末限りでの放出もあり得ると述べているように、F1での旅路が2年で終わる可能性も残されている。
無論、残留の可能性が高いのは言うまでもない。レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはF1-insiderとのインタビューの中で「角田裕毅の事についてはまだ決めていないが、我々のリストの中ではナンバーワンだ」と語った。
角田裕毅の来季残留を後押しする外的材料は2つある。一つはレッドブル・ジュニアに有力な若手がいない事。もう一つは先日発表されたように、支援者であるホンダがレッドブル・ファミリーに対するF1パワーユニットの技術支援を2025年まで継続する事が決まっている点だ。
だが不穏な噂もある。
セバスチャン・ベッテルの今季限りでのF1引退を皮切りに混沌と化したF1ドライバーズマーケットにおいて突如、ミック・シューマッハ(ハース)がアルファタウリの候補として取り沙汰され始めたのだ。
ある者はガスリーがアルピーヌへと移籍し、その後任としてシューマッハが角田裕毅とタッグを組むのではないかと噂する。また、ある情報筋はシューマッハが角田裕毅の後任になる可能性があると伝えている。
実際、伝説的な名を持つ2世ドライバーをジュニア時代からフォローしてきたマルコは「シューマッハとは何の話もしていない」としながらも「彼はフェラーリジュニアだ」と付け加え、マラネロからの縛りがなくなれば検討の余地があるとも受け取れる発言を口にした。
一見、荒唐無稽とも受け取れるが、ドイツの高性能スポーツカーメーカー、ポルシェが2026年に向けてレッドブルと提携するとなれば、偉大なるミハエルを父に持つドイツ人ドライバーを欲しがっても不思議はない。
ベッテルが去る事が決まった以上、シューマッハがグリッドに残らなければ、自動車大国独出身のF1ドライバーは来年、姿を消す可能性がある。
マルコはこれまで、若手インキュベーターとしての役割を担う姉妹チームから若手を引っ張り上げる事でレッドブルのドライバーラインナップを形成していたものの、2020年にセルジオ・ペレスという外部のベテランを起用する事で、ドライバー人事の伝統を終わらせた。
また「トロロッソ」から「アルファタウリ」へとリブランドされた事で、ファエンツァのチームの立ち位置も若干変わった。単なる若手育成のための場というだけでなく、ファッションブランドとしての「アルファタウリ」のプロモーション役を引き受ける事になった。”シューマッハ”の訴求性と知名度は今も衰える事を知らない。
パドックの意表を突く大どんでん返しの契約発表、そして契約発表否定が相次ぐように、F1という世界で確たるものは何もなく、今後も更に驚きの人事発表がある可能性は決してゼロではない。