イモラ・サーキットでメルセデスW16を駆るジョージ・ラッセル、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP決勝
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

メルセデスW16に染みついた“呪縛”―ラッセルが明かす「根本的な問題」イモラで今季最悪結果

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2025年5月18日に行われたF1第7戦エミリア・ロマーニャGPで、メルセデスのジョージ・ラッセルは3番グリッドからスタートしながらも、今季ワーストの7位に沈んだ。レース後、ラッセルは2025年型「W16」が抱える「根本的な問題」について強い懸念を表明した。

ラッセルは、「暑いときは遅く、寒いときは速い――これは昨年も見られた傾向だけど、今年もまったく同じだ」として、マシンパフォーマンスが外気温の影響を大きく受けている点を指摘。「セットアップで解決しようとしてるけど、もっと根本的な部分に問題があることは明らかだ」とし、W16の設計自体に問題があるとの見方を示した。

昨シーズンのメルセデスは、気温の低いコンディションでは上位争いが可能だった一方、暑さの中ではライバルに後れを取る場面が目立った。「W16」は2024年型「W15」の反省をもとに再設計されたが、依然として高温下ではタイヤのオーバーヒートやバランス不安といった症状が解消されていない。

「タイヤに関する問題の解決策が尽きたとは言わないけど、問題そのものがマシンに“焼き付いている”ような感じなんだ」とラッセルは説明し、フェラーリを例に挙げて、一連の問題の難しさを次のように指摘した。

「フェラーリも数年前は、予選は速いけど決勝が遅かった。でも今は逆の傾向になっていて、彼ら自身もその理由を理解できていないように見える」

メルセデスはイモラでフロントサスペンションとウイングのアップグレードを導入したが、高温下でのパフォーマンス向上には至らなかった。さらにラッセルはレース中、リアのトラックロッドが壊れているような感触があったと無線で報告しており、クルマの挙動にも異常が発生していたと見られる。

ポイントを大きく取り逃したことについてラッセルは、「運が悪かったわけじゃない。単に、死ぬほど遅かっただけ」と自虐的に振り返り、「フェラーリよりも遅かったし、ウィリアムズと同等、あるいはそれ以下だった」と競争力の低下に対する強い危機感をあらわにした。

一方、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリは、スロットルの問題により母国レースでリタイアを余儀なくされた。結果、メルセデスはコンストラクターズランキング2位を維持したものの、首位マクラーレンとの差は132点にまで広がった。

1週間後に控えるモナコGPも気温が高くなることが予想される。ラッセルは「特に次戦のことを考えると、もっと良い解決策を見つける必要がある。これから夏に入っていくわけだから、今のままだと先行きは明るくない。とにかく早く手を打つ必要がある」と語り、早期の改善を強く求めた。


2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾った。2位はランド・ノリス、3位はオスカー・ピアストリとマクラーレン勢がこれに続いた。

モンテカルロ市街地コースを舞台とする次戦モナコGPは5月23日のフリー走行1で幕を開ける。

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