マクラーレンのカルロス・サインツ、2019年シーズン
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フェラーリ、サインツ移籍発表間近か…リカルドも既に契約済み?シリーシーズン開幕

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イタリアやスペインを始めとする複数の欧州メディアが、カルロス・サインツのフェラーリ移籍発表が間近に迫っているとの見通しを伝えた。フェラーリの地元イタリアメディアは、早ければ今後48時間以内に正式なアナウンスがなされるとも報じている。

セバスチャン・ベッテルの跳馬でのシートを巡る状況は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で閉鎖を強いられていたモデナとマラネッロの生産活動再開と同時に、急転直下の展開を迎えた。4度のF1ワールドチャンピオンは、シャルル・ルクレール中心の体制構築へと突き進むイタリアチームを離れる決断を下し、これによって伝統のシリーシーズンが雪崩を打つが如く開幕した。

呆然とした表情でガレージに立つセバスチャン・ベッテル、2020年F1バルセロナテスト
© Ferrari S.p.A.

12日(火)のフェラーリの正式発表からまもなくして、まずはサインツの母国スペインのMARCAが、数日以内に契約の細部が煮詰められ交渉が完了する可能性があると伝えると、今度はフェラーリの母国イタリアメディアが、48時間以内にサインツ起用の正式発表がなされる見通しを報じた。ドイツとイタリアのSky Sportも同様の見方を示している。

報道によると、サインツ起用の理由の1つは金銭面だという。未だ優勝経験がないものの、トロロッソ時代にマックス・フェルスタッペンに負けず劣らずの成績を残し、ランド・ノリスのような若き才能に対しても譲らず、25歳という若さながら100戦以上の戦歴を誇る一方で、市場評価よりも安価に契約を結べるというのが、1つの決め手だとされる。イタリア語に堪能というのも優位点だろう。

正確な数字は公式に発表されていないものの、サインツが年俸50万ドル~数百万ドル程度(約5,360万円~)と推定されているのとは対照的に、リカルドは3,400万ドル(約36億4,450万円)と、ベッテルに次いでグリッドの中で3番目の高額ドライバーとみなされている。COVID-19の世界的流行による経済危機が、年俸引き下げ圧力となってドライバーマーケットに押し寄せている事は間違いないと見て良いだろう。

仮にサインツのフェラーリ入りが確定すれば、同郷の大先輩、フェルナンド・アロンソと同じようなキャリアを辿る事になる。2度のワールドチャンピオンはミナルディ(後のトロロッソ)でデビューを飾り、その後ルノーで2年連続タイトルを獲得。マクラーレンへと移籍するもすぐに古巣ルノーへと戻り、2010年から2014年までイタリアの真紅のマシンを駆った。

なおフェラーリの内部事情に詳しいレオ・トゥリーニによると、サインツと並んでベッテルの後任候補に名前が上がっていたダニエル・リカルドは、既にマクラーレンの契約書にサインしている可能性があるという。Sky Sports F1のマーティン・ブランドルもリカルドのマクラーレン入りを予想している。

サインツにせよリカルドにせよ、正式発表までは何がどう転んだとしても不思議はないが、かつてスペイン人ドライバーと共にファエンツァのチームで切磋琢磨したフェルスタッペンは、ベッテル離脱発表後に行われたデイビッド・クルサードとのInstagramライブの中で、フェラーリのシートを獲得するのはサインツだろうと予想した。

フェルスタッペンは「後任が誰かはすぐに明らかにされると思うけど、僕でないことは確かだ。(2023年まで)レッドブルにいるからね」と答えると、DCから「誰だと思う?イタリアの響きがある名前(リカルド)と、スペインの響きを持つ名前のどちらだと思う?」と問われると、「うーん、イタリアの響きを持つ名前にはならないと思う」と返した。DCは「なるほど、興味深いね」とニンマリ笑った。

かつてフェラーリ・アカデミーに所属していた事もあるレーシングポイントのセルジオ・ペレスもまた「彼は素晴らしいプロフェッショナルであり、優れたドライバーだ。ルクレールと共に過ごすにふさわしい」と述べ、サインツのフェラーリ移籍を予想する各種報道を後押ししている。

なお、マイクロソフト社が開発・販売しているプレゼンテーション用ソフト「パワーポイント」を使ってウィリアムズにプレゼンした事で知られるジョージ・ラッセルは、フェラーリへの資料作成に着手したとの思わせぶりな画像をSNSにアップロードしてファンの喝采を浴びている。