レッドブル、マクラーレンに痛烈な皮肉「同じエンジンにも関わらず”2周遅れ”」ホンダ搭載の決断に自信
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事ある毎に来季ホンダエンジン「RA619H」への期待と自信を口にするレッドブル・レーシング。2.4リッターV8時代を席巻したミルトン・キーンズのチームは、ホンダがマクラーレンと共に味わった敗北の3年間など、まるで意に介していないようだ。
マクラーレンは自らが製造する車体を「グリッド最速」と声高に叫び、近年の低迷の原因を一方的にホンダになすり付けてきた。だが、レッドブルと同じルノー製エンジンを搭載した今年、それが偽りである事が白日の下に晒された。
“自賛”ではなくライバルが「グリッド最速」と一目置くレッドブルは、ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンがそれぞれ2勝を計上。コンストラクターズで417点を積み上げ3位を手にした。一方のマクラーレンは、フェルナンド・アロンソの開幕戦での5位入賞が最高位。合計62点で6位に留まった。
とは言え、パドックの一部ではレッドブルの決断を疑問視する声があるのも事実。マクラーレン・ホンダの苦難の3年間は、レッドブルの悩みの種ではないのだろうか?レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはMotorsport Magazinに対して、ウォーキングのチームの敗因はホンダエンジンではないと断じる。
「我々は今年、マクラーレンと同じエンジンを使用していたが、(クラッシュ等の波乱がない)通常のレースでは彼らを2周遅れにしてきた。この事実は一体何を意味していると思うかね?」
「ダウンフォースだけに注目してみよう。彼らは昨シーズンのスパ・フランコルシャンで目一杯のウイングを使い、最大限のダウンフォースを付けていた。当然ながら、彼らはコーナーで最も速かった。ではストレートでは…?」
「我々が同じ様なセットアップを使ったとすれば、実際に我々が残したリザルトを達成する事は出来なかっただろう。つまりラップタイムを最大限に引き出すためには妥協が必要なのだ。コーナーリングスピードは問題じゃない」
スペインGP、カナダGP、ロシアGP、メキシコGP、ブラジルGP…マクラーレンご自慢のMCL33は、計5回のグランプリでRB14の2周遅れという屈辱を受けた。このパフォーマンス差の原因はパワーユニットではない。エンジニアリングであり、セットアップであり、車体そのものであった。
マクラーレンが目指すは”表彰台争い”だが、レッドブルのターゲットはチャンピオンの称号を賭けた”選手権争い”だ。年間王者となるためには、ホンダがメルセデスやフェラーリとのエンジン性能差を縮める必要がある。
「確かに我々にとっては、(ホンダ製PUの搭載は)ある種のリスク要因だ。ホンダはライバルに対してキャッチアップし続けなきゃならないし、手を緩めずに開発を続ける必要がある。だが、その程度の事で提携を思い留まったりはしない」
信頼性と性能は相反する要素であり、急激なパフォーマンス向上を目指せば、それに伴い不具合や故障の危険性が増加してしまう。だがマルコは、それも織り込み済みであり許容可能なリスクだと主張する。
「メルセデスやフェラーリのように、一人あたり3基のエンジンでシーズンを終えられるとは思っていないが、マックスとダニエルは今年、18・19番手からスタートしても、その2・3周後には先頭集団に戻れる事を教えてくれた」
レッドブルはホンダの著しい性能向上で来シーズンのF1の主役になるのだろうか?それとも、批評家やメディアからのバッシングの的にされてしまうのだろうか? 3月17日の開幕オーストラリアGPまでは後90日。楽しみに待ちたい。