メルセデスのルイス・ハミルトンとやり合うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年5月2日F1ポルトガルGP決勝レースにて
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レッドブル・ホンダ陣営、F1ポルトガルGPでの”2度”に渡る「一貫性なき」トラックリミット裁定に憤慨も…

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レッドブル・ホンダの首脳陣は、一貫性を欠くトラックリミット裁定によりマックス・フェルスタッペンは優勝、ファステストラップ、ポールポジションを奪われ、セルジオ・ペレスは不利益を被ったとして不満をあらわにした。

シーズン最終戦までもつれる激戦のチャンピオンシップが予想される中、レッドブル・ホンダは第3戦ポルトガルGPの最終盤にフェルスタッペンをピットインさせてファステストラップを刻んだが、ターン14でトラックリミットを取られ、エキストラボーナスはバルテリ・ボッタス(メルセデス)の手に渡った。

レース後のグリッドインタビューでポール・ディ・レスタからタイム抹消の事実を知らされたフェルスタッペンは「ターン14は監視対象じゃなかったでしょ。ちょっと変だよ。でも、どうでも良いさ」と投げやりな様子を見せた。

アルガルベでの週末にはトラックリミットに関するルールが2度変更されており、2日目に発行された最新版ではターン14が追加の監視対象に加えられていた。

不満を示したのはフェルスタッペンだけではない。チーム代表のクリスチャン・ホーナーはSky Sportsとのインタビューの中で「トラックリミット、そしてその適用の一貫性は議論の種だ。そうだろ? FIAから送られてくる文書は日によって変わるんだ。適用の仕方にはフラストレーションが溜まる」と語った。

ホーナーが「一貫性がない」と指摘するのには他の理由もある。曰く、セルジオ・ペレスは序盤にマクラーレンのランド・ノリスに交わされ、以降少なくない期間に渡って前を塞がれたが、ノリスは追い抜きの際に4輪がコース外に出ていたという。

ホーナーは「彼はトラックリミットを超えたクルマに追い越された。セルジオはその事で非常に苛立っていた」と説明した。

当のペレスは「ターン5でミラーを見たらランドが完全にコース外に出ていたから、当然ポジションを返してくれると思って争わなかったんだ」と述べ「結局彼をパスするのに時間が掛かってしまった。レースの結末は見えていた」と続けた。

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコもご立腹だ。

マルコは独Sky Sportsとのインタビューの中で「これで優勝もファステストラップもポールポジションも失ってしまった」「縁石で境界を作るか、砂利を敷くか、とにかく何かを変えなければならない」と述べ、コース外走行に対する罰則は人為的ではなく自然になされるべきだと訴えた。

フェルスタッペンは開幕バーレーンGPでルイス・ハミルトンをパスして首位に立ったものの、追い抜きの際にコース外に出たと判断され勝利を逃している。

マルコは「ペレスをオーバーテイクしたノリスも4輪がコース外に出ていたが何も影響がなかった。一貫性に欠けているし、辻褄合わせのルールの適用があるようではレースとは言えない」と憤慨した。

だが、FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシは、こうしたレッドブル・ホンダ陣営の主張を全面的に退けた。

マシは、仮にトラックリミットが設定されている各コーナーでアドバンテージを得た場合、具体的にはオーバーテイクをしたり、ラップタイムを上げた場合は「それが何であれ、審議する事になると伝えてある」と指摘。更に、トラックリミットに関しては土曜の朝に発行したイベントノートの3版に記しており、またドライバーズミーティングにおいても議論されたものだと主張した。

ノリスのオーバーテイクについては、レッドブルからの報告を受けての調査の結果「ターン4のコース外側ではなく、DRSゾーン終盤のターン5でのブレーキをかけながらのパッシング」であった事が分かったとして、あくまでも合法と説明した。

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