レッドブル・パワートレインズ、開幕2戦で問題多発…特定進まず歯がゆいアルファタウリ
レッドブル・パワートレインズの船出は第2戦サウジアラビアGPでのマックス・フェルスタッペンの逆転優勝によって幾らか正当化されたものの、僅か2戦の間に数々のメカニカルトラブルを許す厳しいものともなった。
シャシーやエンジンが刷新されるシーズンは特に、チャンピオンシップを争う上で高い信頼性が求められるが、レッドブルは開幕戦で31ポイントもの大量得点を失い、アルファタウリも2戦連続でポイント獲得のチャンスを逃す事となった。
バーレーンでのレッドブル勢のトラブルは燃料システムに関連するものだった。正確な内容は明らかにされていないが、チームは供給ライン内が真空状態となった事でポンプが燃料を汲み出せなくなったとしている。
第2戦サウジアラビアGPに向けて対策を講じた事で、少なくともジェッダでの週末は目立ったトラブルもなく、フェルスタッペンの優勝に続いてセルジオ・ペレスも4位と、開幕戦の雪辱を果たしたが、同じパワーユニット(PU)を搭載するアルファタウリのトラブルは収束の見通しが立っておらず、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表の苦悩は終わらない。
開幕戦での車両火災を経て、全PUコンポーネントを交換したピエール・ガスリーに続き、角田裕毅も第2戦で立て続けに駆動系のトラブルに見舞われ、予選と決勝を走る事ができなかった。またガスリーもFP3で再びトラブルに見舞われた。
問題解決において最も重要な事は、何が問題なのかを正確に特定する事だ。問題が分からなければ解決策を検討する事はできず、問題の特定を誤れば当然、そこから導き出される解決策は的を得たものとはならない。その特定が進んでいない。
レーシングニュース365によるとホーナーは日曜のレース後、早急な解決が重要との認識を示す一方、まだその原因を特定できていないと認めた。またアルファタウリのフランツ・トスト代表も、どこが壊れているのかはまだ分からず、再利用可能かどうかも不明だと明かした。
アルファタウリ側の問題はレッドブル側には発生していないため、パッケージングに起因する類のトラブルである可能性もあるが、いずれにせよ、ホンダとの密接な連携なくして解決する事は難しい。
レッドブルとアルファタウリが搭載している2022年仕様のパワーユニットは、表向きには「レッドブル・パワートレインズ」と銘打たれているものの、実際の中身はホンダ製で、昨年までと同様に栃木県にあるHRD Sakuraによって設計・製造されている。
なお開幕バーレーンGPでの車両火災についてガスリーはバッテリー関連のトラブルだと認めているが、これに関しても現時点ではまだホンダによる詳細な調査すら行われていないため、解決にはもうしばらく時間が掛かる見通しだ。
トストは「飛行機で運べないため、まだ日本への帰路の途中だ。バッテリーは水の入った密閉容器に入れなければならず、今は船の中にある。何が起きていたのかについて彼ら(ホンダ)が調査を行うまで、我々は待つ必要がある」と語った。
F1パワーユニットで使われているバッテリー=ES(エナジーストア)には可燃性が高いリチウムイオン電池が使われており、国際輸送に関しては国連勧告輸送試験UN38.3に合格する事が求められるなど制約が厳しい。
必ずしも空輸できないわけではなく、特別な梱包と取り扱いを条件に貨物用航空機であれば輸送できるようだが、トラブルが起きたものは船便で輸送する他にないのかもしれない。
そもそも一連の問題の原因がパワーユニット側にあるのかどうかは分からないが、F1では今季より2025年末までパワーユニットの開発が凍結されるため、パフォーマンス追求のために多少の信頼性リスクを取るのは理に適っている。信頼性に関する変更は例外扱いであるためだ。
次戦オーストラリアGPは翌週末に開催されるため、開幕2連戦とは異なり幾らか時間的猶予がある。メルボルンで朗報が聞けるだろうか。