レッドブル・ホンダRB15とRB14のサイドの比較

準備に余念なきライバル…レッドブル・ホンダ、開幕を前に一歩出遅れか

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7月5日と12日のオーストリアGPに向けて、タイトル争いが予想されるメルセデスAMGとスクーデリア・フェラーリがF1マシンを使ったプライベートテストに臨む一方で、レッドブル・ホンダとマクラーレン、そしてルノーは、テストを行う事なくレッドブル・リンクへと向かう可能性がある。

シルバーアローは8日(月)、2日間に渡るシルバーストン・サーキットでのテストに先立ち、車両の点検整備の一環として2018年型F1マシン「W09」のF1パワーユニットに火を入れ、その様子を動画で公開した。

スクーデリア・フェラーリも今週、2018年型F1マシン「SF71-H」をフィオラノ・サーキットへと持ち込み、シュピールベルクでのイベントを前に、シャルル・ルクレールとセバスチャン・ベッテルにウォーミングアップの機会を与えるものと見られている。

これには、ドライバー達の腕の”サビ”を落としてレース感覚を取り戻させるという事だけでなく、イベント期間中に義務付けられる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の手順や手続きを事前に確認するという目的もあるものと推測される。

メルセデスとフェラーリが先陣を切って3ヶ月ぶりにパワーユニットの轟音を響かせ余念なく準備を進める一方で、レッドブル・ホンダとマクラーレン、そしてルノーは、時間的・地理的理由のために静寂を保ったままシーズン開幕を迎えざるを得ない可能性がある。

F1競技レギュレーションはプロモーション目的での年2回までのテストを除いて現行マシンでのテスト走行を禁止しているが、「TPS(Testing of Previous Cars)」枠を使えば、メルセデスやフェラーリのように2016年~2018年シーズン用に作られた旧型マシンを使ってテストを行う事が出来る。だが、マックス・フェルスタッペンとアレックス・アルボンが開幕前にステアリングを握る事は難しそうだ。

レッドブル・レーシングは2007年から2018年までルノー製F1パワーユニットを搭載していたため、テストのためには仏ヴィリー=シャティヨンからエンジン一式を取り寄せ、ルノーのメカニック達を招集する必要があるものの、イギリスへの空路入国者には14日間の自主隔離が義務付けられている。同じようにマクラーレンは2018年にルノー製エンジンを搭載し、2015年から2017年にかけてはホンダ製エンジンを使用していた。

今季型マシンを使ったプロモーションイベント用の走行枠、所謂”フィルミングデイ”は年2回まで許可されており、こちらを使うという手もあるが、マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表はSky Sportsとのインタビューの中で「我々は最近パワートレイン一式を変更した。そのため残念ながら、使用可能な2年落ちのクルマを用意する事は出来ない」と述べ、開幕に向けての準備はドライバー個人に任せるとの考えを示した。

実際、ランド・ノリスはジュニア時代に良好な関係を築いたカーリンの支援を受け既にF3マシンでのテストを行っており、カルロス・サインツも同様に父の助けを受けながら解決策を模索しているものと見られている。ルノーも似たような状況にあり、不可抗力的なハンデを抱える可能性がある。

車体の開発拠点は英国でパワートレインの開発部門はフランス。ドライバーはオーストラリア人とフランス人。多国籍なルノーもまた、レッドブル・ホンダやマクラーレンと同じように、ドライバーの事前準備がシミュレーターのみとなり得る。

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