レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表とメルセデスAMGのトト・ウォルフ代表

予選レース:交錯する思惑…賛成するレッドブル・ホンダと反対するメルセデス

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同一会場でのダブルヘッダーが予定されるオーストリアとイギリスの両イベントで、1ラップの最速タイムを競い合う従来型の3ラウンド式予選フォーマットに代えてスプリントレースを採用する案が出ているが、大多数が賛同する一方でメルセデスが不支持の立場を取っている。

先週の金曜日に行われたF1チーム、国際自動車連盟(FIA)、そしてリバティメディアによる電話会談で提案された新たな予選方式は、同一サーキットでの2週連続開催イベントの第2戦目のスターティンググリッドを30分間のレースで決めるもので、予選グリッドはチャンピオンシップの逆順とする事が議題に上がった。

今週中に電子投票が行われるものとみられているが、本案を世界モータースポーツ評議会(WMSC)へと通すためには全10チームの全会一致が必要であるため、メルセデスが否定的な立場を貫く以上、否決される見通しとなっている。

何故メルセデスは反対するのか? Sky Sportsにビデオ出演したレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、連覇に重責を背負うチーム代表のトト・ウォルフが「変数の多さ」を嫌っているためだと説明する。

「今年は特異的な状況にある上に、同じ会場で2回のレースが行われる事になるため、従来と違うことを試すには完璧なタイミングだと思う」とホーナー。

「もし従来どおりのフォーマットで予選を行う場合、天候が同じであれば第2レースも第1レースも似たようなリザルトになってしまうだろう」

「この提案は圧倒的な支持を得ていたように思うが、トトだけが特に支持していなかった。ルイス(ハミルトン)の7度目のワールドチャンピオンシップの妨げになると考えたのだろう。変数が多すぎると判断したんだ」

戦略などの意思決定の際に考慮すべき項目が増えるのは確かだろう。例えば入賞にギリギリ手が届かないと踏んだミッドフィールダーが、第1レースを早々にリタイヤして第2レースの予選グリッドでポール・ポジションを取りに行く事などが考えられる。通常であればこのようなトリックは機能しない。

しかしながらホーナーが「それは誰にとっても同じことだ」と語るように、変数が増えるのは全チーム共通で、ルールとして開幕前に確定してさえいれば公平と言える。ミルトン・キーンズのチームは母国GPのレッドブルリンクを得意としており、今季はマックス・フェルスタッペンの4連覇が懸かっているだけに、強いて言えばレッドブルにとっても従来通りのフォーマットの方が好ましいのではないだろうか。

メルセデスが顔を背けるのは、失うものが最も大きいからだ。シルバーアローはV6ハイブリッド時代のチャンピオンシップで不敗神話を紡いでいる。今季は前人未到のダブル7連覇の偉業が懸かっており、ハミルトンにとってはミハエル・シューマッハが持つ7度のタイトルに並ぶチャンスがある。

当のメルセデスは「F1を魅力的なものにするためにギミックを導入する必要はない」と主張しているが、ホーナーは「(チャンピオンシップを争うようなドライバー達が)グリッド後方からスタートし、中団をくぐり抜けてレースをするのはファンにとって楽しいだろうし、F1にとってもポジティブと言える。挑戦を恐れるべきじゃない」と断固として譲らない。

ホーナーはウォルフとメルセデスの再考への期待感を口にしているが、従来どおりの予選フォーマットが継続される可能性は高そうだ。

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