レッドブルF1代表ホーナー、FIAのマイケル・マシ退任決定を批判
レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、物議のアブダビGPを経て、F1レースディレクターを務めていたマイケル・マシを退任とする決定を下した国際自動車連盟(FIA)を批判した。
同一ポイントで迎えた昨シーズンのタイトル決定戦でマシは、レース最終盤のセーフティーカー(SC)解除に際して一部の周回遅れにのみラップバックを指示。この結果、マックス・フェルスタッペンがファイナルラップでルイス・ハミルトンをオーバーテイク。オランダ人初のF1ワールドチャンピオンに輝いた。
マシの判断について、逆転負けを喫したメルセデスはレギュレーションに反するとしてレース後に異議申し立てを行ったものの、スチュワードは規定に則った判断であるとしてこれを退けた。
それでも一件を巡る議論が収まる事はなく、ジャン・トッドの後任として新たにFIA会長に就任したモハメド・ベン・スレイムは2月14日のF1コミッションでアブダビGPの調査報告を元に、サッカーのVARに相当する「バーチャル・レース・コントロール・ルーム」の設置を含むレース監督体制の改革案を発表。その中でマシの退任が明らかにされた。
これに関してホーナーはtalkSPORTとのインタビューの中で「実際のところ彼はルールに則っていた。何も悪い事はしていない」と述べ、FIAの決定を批判した。
ホーナーは「VARのような仕組みを導入したり、ハービー・ブラッシュ(元F1副レースディレクター)という最も経験豊富な人物をレースディレクターの補佐役とした決定は良いと思う」としながらも、マシは昨シーズンを通して「非常に難しい立場」に置かれていたとして、退任は「厳しい」と主張した。
「(判断に際して)自由に使えるリソースという観点で言えば、彼が持つリソースとチームが持つリソースには非常に大きな差があった」
「マイケルを解任せよとの非常に大きなプレッシャーがあったと考えている。個人的には(退任は)正しくない決断だと感じている」
ホーナーは更に、結局のところメルセデスとハミルトンがタイトルを失ったのは戦略的判断にミスがあったためだと指摘し、既に決着がついたアブダビでの最終戦を見直すべきとの批判を含む一連の物議は真実を覆い隠すための「偽装行為」だと主張した。
「レースを振り返ってみると、メルセデスには2回、ピットインする機会があった。つまり、あれはちょっとした偽装行為だ」
「バーチャル・セーフティーカーとSCが導入された際、ドライバーはその両方でピットインを要求していたのに、チームは彼を放置した。それがレース終盤で彼を苦しめる事に繋がった」
「スポーツでは笛が鳴るまで、旗が振られるまで、勝負の行方は分からないものだ。時にそういう事は起こるものだし、我々は最終的に少し運が良かった」
「我々は戦術的に最後まで冴えていた。ラスト5周目にクラッシュが発生した時、即座に対応した。マックスをピットに入れて新品タイヤを履かせた。対してメルセデスは、44周を消化してタイヤの寿命が尽きたルイスをステイアウトさせた」
「結論としては、我々は戦術的に正しい決断を下したという事だ。そしてマックスは交わさなければならない最終ラップでルイスをパスし、ワールドチャンピオンを掴み取った」
なお、昨シーズンを通してレースディレクターの判断を声高に批判し続けていたフェルナンド・アロンソはアブダビでの一件に関して、2月21日のアルピーヌ「A522」の新車発表会で「何かが間違っていたとは思っていない」とした上で、マシの退任を含むレース監督体制の変更が一件とは無関係に下された決断である事を「願う」と語った。